第13話 205号室 秋田裕子

「秋田さん、パジャマに着替えましょうか?」

「何で?お母さん👩、帰って来るからダメ」

秋田が少しぐするように言った。秋田の年齢が90歳だから、あなたが言う「お母さん」って110歳くらいになってないか?


「服👚を脱ぎますよ?」

「お母さん👩を、待ってないけゃいけないの。何をするのよ」

ブラウス👚のボタン🔘を外そうとすると、秋田は抵抗する様子を見せた。

「お母さんにね、会わないといけないから、パジャマに着替えましょうね?」

秋田のファンタジーに話を合わせて、着替えをスムーズに行おうとした。

「何でよ。お母さん👩、来るでしょう?」

「来るのかな?ね、まずは、まずはパジャマに着替えましょう。そうでないとお母さん👩来ませんよ」

何故、パジャマに着替えないとお母さん👩が来ないのか?論理的に破綻していた。😆ハート❤️のマークが付いたパジャマに着替えさせる。


「本当?」

「ええ。本当ですよ」

何が本当なのかどうなのかもわからないまま、頷き宥めて何とかパジャマに着替えてもらった。ベッド🛏️に横になってもらう。

「では、おやすみなさい😴」

そう言って居室から出て来ると、秋田は何も答えなかった。

島部が、漂白剤でフロアの手すりなどを拭き取っていた。遅番の業務で、タブレットを使い全入居者の記録を書き込む。


すると背後の扉🚪がガタンと音がしたので後ろを振り返ると、207号室の綿樫トメが居室から出てきた。短期記憶が無く、風呂🛀の声かけをすると、「喉が痛いので風邪🤧気味だから、入浴🛀しない」という風邪を引いていないのに、嘘をつく入浴拒否があった。

「どうしたんですか?」

そう声掛けをすると、島部がやって来て「僕が対応するから、ゴミ🗑️捨ててきて」と言った。


島部が集めてくれたフロアのゴミを集めて集配場に捨てに行った後、退社の時間になった。島部が助けて🆘くれたおかげで、何とか19時半に帰れそうだった。パソコンの中にあるタイムレコーダーを打刻する。

『19時31分』で打刻した。

「お先です」と言うと、島部は明日の朝食の薬💊の準備をしながら、新島村の目👀も見ずに「お疲れ様」と答えた。


島部には、君が夜勤に入れないから、俺の回数が増えるんだといった無言の圧力があった。また夜勤帯を1人で任されている自負心からか、姿勢が威圧的に見える。来月から待ちに待った夜勤を開始する。不安半分、期待半分といったところだろうか。


丁度帰ろうとすると、ナースコールがなった。201号室の谷河百合子さんの居室からだった。





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