第12話 203号室 佐久田万作

「ビ、ビックリするじゃないですか!」

その言葉には答えず、佐久田が話し続けようとした。

「佐久田さん、ちょっと待ってもらえますか?」


佐久田は、短期記憶が無く、生真面目でいつもカッターシャツを来ている。仕事は、最終大手企業の工事長🏭👷‍♀️をした事もあるらしく、

このグループホームでも、自分は工場長🏭👷で、この施設を出張先のホテルに来ていると 思っているところがある。以前の職場ではよく出張に行っていたらしく、英語で製品の説明をするのに苦労したらしい。定年退職をして、みるみるうちに認知症が進行して行ったそうだ。

いつも不安げになっていた。まだ遅番の業務が残っているのに、ここで話しかけられると逃げられない💨で困っていた。


「た、たい大変な事が起こりました」

佐久田が深刻そう言うと、新島村はまた始まったと思った。佐久田の言い方はまるで、宇宙人👽でも飛来して来たかのような言い方だった。

「僕には、さっぱりわからない。出張だと思ったのに病院🏥に来ている。どうしてここにいるのかな」

そう佐久田が不安げに言った。まるで自分自身が突然、ここにテレポーションして来たかのように言った。

『うーん、宇宙人👽に拉致されたんかな?』

思わずそう軽く言いたくなった。認知症の人にそんな事を言える訳が無く、「ここはね、病院じゃないですよ」と答えると更に困った顔をした。

「病院🏥じゃない?」

「ええ。そうです」


「僕はね、すぐに家🏠に帰らなければならないんですよ」

「いえいえ、今日はここでお泊まりですよ」

「いやいや。泊まる訳にはいかない」

やんわりと、佐久田が否定した。新島村は、努めて冷静に話そうと努力していた。

「僕は、泊まりの道具🪚を持って来ていない」

まるで一大事件が起こったかのように言う。

「あります。あります。パジャマ👚がね、部屋にありますよ」

佐久田を納得させようと話しかける。


「佐久田さん、どうしたんですか?」

島部が、秋田裕子の入床介助もあるので、更に佐久間に時間⌚️が取られるのは良く無いと思ったのか、佐久田を話しかけて引き離してくれた。そして佐久田に、歯🦷を磨くように誘導しながら話しを聞いていた。佐久田の話しかける対象が、新島村から変わり島部になった。

新島村は、秋田裕子の居室に行った。新島村は、その間に秋田裕子の居室行くと、タンス🗄️の中から服を出して畳んでは引き出しの中に入れたら、また出して畳直して戻したりしていた。まだパジャマ👚に着替えていなかった。











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