第10話 家族からの要望
ぬいだ服も👗新島村が所有する衣類のどれよりも高そうな品物だった。しかし、その割には以前、歯磨き粉が使ってしまったので、新しいのが欲しいと、ユニットリーダーの小谷裕樹に言ったことがあった。
「田所さんの家族、金持ちのハズなんだけど、今は日用品で必要な小口のお金💰をなかなか貰えないんだよね。施設長に言って、とりあえず歯磨き粉代、施設で立て替えてもらって、先に購入するか」
田所佳子の3人の息子や娘が、財産の相続でもめているらしく、リハビリパンツパンツや、パット代を請求してもなかなか貰えず、立て替えてた金額💰を貯まって来てので、施設側も支払ってもらうのには、苦労しているとの事だった。
また家族👪からの要望で、田所佳子の持ち物の衣類には絶対に油性マジックなどで名前を書いたりしてはいけない事になっていた。気をつけて衣類を洗っていても、他の利用者と紛れてわからなくなる事があるので、利用者の名前を書いてもらう方が簡単に、間違い防止のためになるし、介護職の人間には負担が少なく助かるのだがダメだった。
田所が亡くなった後で、衣類をバーザーとかネットオークションとかに出品するために名前を書いてはいけないらしい。他に良い手がないかとユニット内の職員同士で相談したところ、田所の衣類👚だけ写真📷に撮ってアルバムにし、いざ衣類が紛れてしまった時には確認出来るようにしないかという事になり、写真撮影というちょっとした手間がいる。
前に服に他の利用者の下着🩳をバケツに入れ、排便💩で汚れたので漂白剤で漬け込む際に、誤って近くにあった田所の服に零して色落ちした事があった。ユニットリーダーが、家族に謝罪の電話☎️をしたら恐ろしい剣幕で叱られたと聞いていたので、田所の介助には気を使う。そのくせ、カシミヤのセーター👕を普通に洗って構わないと言う。ややこしい。
田所は、協力的に手🖐️を動かしてくれた。上だけパジャマに着替えると、今から車椅子👩🦽からベッド🛏️に移り変わる事を伝えた。その際には、ベッド🛏️柵に掴まる場所を示した後、「行きますよ。さあ、立ちましょう!」と言うと、「もう寝るんか?」と訊ねてきた。
「へっ?」
一瞬、力が抜けそうになった。もう一度、ベッド🛌柵に掴まって移乗する事を身振りも含めて説明し、立ってもらった。その瞬間に、急いでくださいズボン👖を引き降ろすと、またベッド🛌に座ってもらう。
「では、パジャマに履き替えますね」と伝え、履き替えてもらった。
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