第34話 職場の高齢化の問題

「「鰐浜さん、転倒したんやて?」

古田ケアマネジャーは、色白の顔で幼く見えた。古田ケアマネジャーも、まだ30代後半で独身のはずだ。古田と、付き合うのなら別に新島村は構わないと思ったが、無資格者とケアマネジャーでは古田が嫌がるだろう。


小谷が、頷いた。

「今朝、夜勤帯に転倒したみたいね」

小谷が、「やれやれ」と言った風に答えた。

「夜勤者は誰?」

「島部さん」

小谷から、その名前を聞いて何気無く古田が訊ねた。

「大丈夫?」

「どういう意味?」

小谷が訊ねながら、言いたい事はわかるよと言った風に「ニヤリ」と笑った😆。


「年齢とかもあるじゃない?」

古田が、確認するのも怖いと言った風に訊ねた。

「大丈夫じゃないですか?」

小谷は、そう答えた。

「もし島部さんがダメだというなら、誰かが島部さんの代わりに夜勤をやらなくてならなくなるからね」

古田は黙って頷くしかなかった。


職場の高齢化も問題だった。介護現場は、労働力が足りない。以前人手が足りない時に、派遣会社に人員確保を申し込んだ事があった。来たのは、年齢は71歳を超えていた女性で、長年看護師👩‍⚕️として働いて来たとの事。


病気の夫と、自閉症の息子、不倫の相手に妊娠🤰させられ逃げられた娘がいると話していた。お金がいるので、「働かざるを得ないのだ」と言っていた。

「さすがに看護師としては、もう雇って貰えないけど、介護なら派遣会社が派遣先の意向を聞きながら働かせてくれろので、まだまだ頑張らないと」と言って、日焼けした顔を綻ばせていた。


派遣が来る予定の日に彼女が来なかったので、「この間、来なかったね」と言うと、自閉症の息子を預かってくれる身障者の施設が見つからず働きに出れなかったと言った。

「息子を預かってもらうのにお金💰がいるし、働きに行かないとお金💰が得られないし、本当、痛し痒しなんですけどねー」

そう言って笑った。

「孫👶も生まれるし、頑張らないと」

「初孫👶ですか?」その子の父親👨は、逃げてますから」

何と不幸が重なる物だろうか。しかし、その71歳の彼女は不幸とは思わず、笑い話として捉えていた。バイタリティーに溢れていた。まるでマグロ🐟のように、止まると呼吸が出来ないかのように思えた。

会社は、コストがかかる派遣は、出来るだけ断ろうという方針になり、今は必死のやり繰りをしていた。


会社は、介護の派遣は単価が高いので、掃除🧹と介護の部分を分け、掃除🧹の部分を短時間勤務で、お試しで高齢者事業団に入ってもらう事にした。

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