第46話 理由

自分で話して、『何だそりゃ』と言った気分だった。小谷リーダーならスラスラと小規模多機能の事について答えただろう。小規模多機能型って、さっぱりどんな事しているのかがわからない


屈託なく笑い、キラキラと溢れるような笑顔が素敵だった。このまましばらく五十川と話したい誘惑があったが、照れくささを振り払うかのように、先を急ぐふりをして五十川に「サヨナラ」と言って別れた。

五十川は、ヤバいくらいに可愛いかった。


小谷は、どうやって五十川と付き合うようになったのだろう?五十川と2人でいると、世間的には、外観を見てにはどう思われるんだろう?


親子?カップル?ストーカとそれを諫める女性?幻想と妄想の違いだろうか?若い子の妄想という言葉は、幻想や、ファンタジーという言葉に置き換えられるけど、中年には幻想という言葉は似合わない。フレッシュな中年という形容詞が使えないような物だ。


何だか、ため息が出てきた。芸能人なら、そんな年齢差のカップルはいるかもしれない。相手の男性が、芸能人以外で年齢差が有るとすれば、男性の職業が、医者とか、社長になるだろう。


相手の男性が、介護職というので芸能人と結婚した人間は聞いたことがない。収入格差を受け入れられる奇跡は『無い』。五十川との年齢差はどれくらいだろう?23歳差かな?


介護職の給料で、23歳の歳の差を乗り越えるだけの魅力がそこには存在するのだろうか?

そんな可能性が『無いことは無い』はずだ。


あるとすれば、相当五十川が弱っている時か、新島村がロト6で6億円当てた時か、突然、何かの疫病が大流行り世界の男性の人口の多くが失われ100人くらいしか生存しなかったとしたらどうだろう。だがそれでも、100人切ったとしてもやっぱり難しかしいのだろうか。そんな奇跡でも起こらないと無理なような気がしていた。


絶望感で胸が一杯になって来た。

五十川は、小谷の何処に惹かれて付き合うようになったのだろう?小谷の給料が、高い低いだけでは無いだろう。給料に、何んてそんな変わらないはずだ。リーダー手当や、介護福祉士の資格手当が付いたとしても、そんなものをたかがしれている。


では、小谷が格好いいから?性格がいいから?男気があるから?

小谷は、確かに認知症の人が、介護抵抗を見せても、笑いながら穏やかに対応していた。あの優しさは、年下ながや憧れていた。

また五十川も、無資格者だから、資格を持っている小谷に憧れを抱いてしまったのかな?

新島村は、色んな事を想像しながら帰路についた。

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