第49話 東谷理事長

「まあね。本社にいたらいろんな情報が入って来ますよ」

「だろうね」

そう言って新島村が頷くと、服部が谷河が座る車椅子👩‍🦽を押しながら浴室に向かった。

「でも、あくまでも噂ですよ。う・わ・さ」

横森の言葉に、何度も頷いた。

「もったいつけるなよ」

「理事長が、最初に結婚したフィリピン🇵🇭女性は、実は本国に許嫁がいて、既に子供が2人いたんですって」


「ええっ?理事長とその女性とは結婚💒する前に、つまり未婚のまま子供が出来てしまったらしくて、その女性の婚姻証明書を取り寄せたら、彼女は独身でなく、フィリピン🇵🇭で既に結婚していて、別の家庭を持っていた事がわかったんですって。で、その女性は赤ん坊を産むと、さっさとフィリピン🇵🇭に帰国してしまったので、途方に暮れていた理事長のお姉さん夫婦には、子供がいなかったので養女として育てられたんですって」

「そっかあ。だから名字が違うのか」

なるほどなあ、五十川はハーフだったのか。だから、可愛いんだね。

新島村が今更ながら納得した。


「そういう理由みたいですよ。以前から、僕も五十川智恵莉さんには、一度会ってみたかったんですよね。阿曽小町の本社では、五十川さんは美人で有名だから」

横森がそう言って笑った。


「五十川さんが、施設のパンフレットに顔出ししているのは理事長の娘だからなのか」

新島村は、合点がいった。

「それもありますけど、五十川さん、可愛いじゃないですか?」

『あらっ、あっさり可愛いって今、言ってたよ』

そう驚きながら、新島村が何とか答えた。


「そ、そ、そうかな。まあまあじゃないの?」

「そうですか?結構エキゾチックな雰囲気がありますよね。でも実は、阿曽小町では五十川さんの話はタブーなんすよ。理事長は、今の2番目の奥さんの尻に敷かれているらしく、また今の奥さんとの間に子供もいるから、それらを気にして余り接触がないようですよ」

「何かそれも違う気がするなあ」

新島村が、ぼやく様に言った。


「理事長の今の奥さんとの子供は、かなり優秀で歯科医🦷か、何かを目指しているていう話なで、法人の役員には入るかもしれないですが、介護業界には来ないんじゃないですかね。五十川が、在籍出来るみたいですよ」

「理事長の子供同士が争うような真似はしたくないだろうからね。と言っても、僕は理事長の顔はっきり知らないなあ」


「本社にいないとなかなか顔を合わす機会も無いですよ。ああーあ」

横森が、欠伸をしながらそう言った。

「明日から、夜勤に入るんでしょう?」

「ちょっと期待半分、不安半分だな」



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