第48話 横森大蔵

「矢澤施設長の誕生日がわかっていて、何もしなくていいかな?」

服部がそう訊ねて来た。

「何か、僕ら職員が誕生日🎂のプレゼントを渡すのもなんか変かなと思って」

横森が、答えながらそう言った。

新島村が頷くと、横森が更にこう言った。

「管理者に誕生日🎂プレゼント🎁を渡すって、何か貢ぎ物を渡すみたいで嫌だしね」

新島村が笑った。


「でも何かは、強制的じゃ無いにしろ、矢澤施設長の誕生日🎂知って、何もプレゼント🎁上げないっていうのもねえ。私は、タバコ🚬一箱くらいはあげようかな」

服部がそう言って、入浴🛀表を見ながら訊ねて来た。

「次、谷河さん、お風呂🛀に入れていいの?」

にいじまが、入浴🛀表を表を見て確認すると、服部に頷いた。服部が、谷河の入浴🛀介助に向かった。

「でも、そんな事しないでも、矢澤施設長なら、誰かに誕生日🎂プレゼント🎁貰うんだろうなって思いますけどね」

「何か、モテそうだもんね」

新島村が、横森にそう答えた。横森は、夜勤の仕事を終え、タイムカードを打刻する。


「多分、大丈夫だと思いますけど、もし記録の抜けがあったら教えてください」

そう横森が言って笑った。

新島村が「わかった」と言った後、「お疲れさん」と答えた。


服部が、谷河の着替えを持って浴室🛀に向かう。

「でも、この話知ってますか?」

「何が?」

新島村が訊ねた。

「ここの理事長って知っていますか?」

「名前くらいしか知らないけどね。東谷田菜家でしょう?ちょっと下の名前が変わっているよね」

新島村が何気なくそう答えると、横森がニヤリとしと言った。

「ここの小規模多機能にいる五十川智恵莉さんって、理事長の別れた前の嫁さんの娘なんですってね」

「えっ?」

「知らなかったのですか?」


「初めて聞いた」

「あっそっか。僕、阿曽小町から転勤して来たんですよね」

「阿曽小町の施設の上には、本社があるもんね」

「理事長室もありますからね」

横森が頷きながら、こう言った。

「でも更にこんな噂があるの知ってますか?」

「どんな?ここはそんな事は余り聞かないからな」

新島村が興味津々に訊ねた。

「五十川さんって可愛いでしょう?」

いきなり、どストレートなボール⚾️を投げ込んで来た。思わず釣られて頷いた。


「ああっ、そう思うけどね」

「ハーフだから」

「ハーフ?」

新島村が、オウム返しで訊ねた。

「そう。東谷理事長の最初の奥さんって、フィリピン人のヘルパーだったっていう話しですよ」

「凄い話しを知っているねえ」

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