第40話 事故カンファレンス

田所さんの臥床を終え戻って来ると、古田ケアマネジャーから「じゃあ、事故カンファレンスをしませんか?」と声がかかった。

「小谷リーダー、13時からの食事休憩前だし、サッサと終わりましょうか」

そう古田が言った。


新島村は、鰐浜さんを病院🏥には移送したが、事故の当事者じゃない。当事者は、夜勤者の島部次郎だ。カンファレンスに島部が居なくていいのかと思った。古田は、それを察して先に言った。

「事故は、夜勤者がやったけど、重大事故だからカンファレンスは早めにしっかりやらないと」

小谷が頷いた。立川が、メモ紙📝を持ちながら近付いて来た。

「鰐浜さんは、基本的には自立だからね。トイレ🚽で転倒された場合、どうしたら良かったんかな?」

そう言いながら、立川はパソコン💻が置いてある机の簡易の丸椅子に座った。


「どんな状態になって帰って来るかですね」

新島村が思わずそう呟いた。

「歩けるようになるんかな?」

小谷がそう呟いた。

「じゃあ、始めますね。島部さんが、夜勤明けで帰ってしまったので代わりに私が読み上げます」

古田は、事故報告書を手🖐️に持ちながらそう言って、概要を読み上げ始めた。


「朝方、4時半頃、鰐浜さんがトイレまで伝い歩き🚶‍♀️をしながら向かわれていた。暫くしてトイレ🚽内でドンという大きな音が聞こえたため、向かうと便器🚽の側に倒れていた本人を発見💡する。抱き起こしながら便座🚽に座らせると、本人に頭を打ったかどうかを確認をした。頭は打っていないと言われたため、リハビリパンツ🩲を履いてもらい、車椅子に移譲してもらった際、痛みを訴えられる。事故の第一報を矢澤施設長に報告するも、連絡✉️がつかなかったため、小谷リーダーに連絡✉️し指示を仰ぐ」

「頭を打っていないというし、日勤が来てから救急で見てもらおうと思ったんだ」

小谷がそう言った。


「転倒すると、高齢だからね。車椅子生活になる事も考えられますよね」

立川がそう言った。

「事故を防ぐ方法はある?」

古田がみんなに訊ねた。

「自立の人だしね。トイレ🚽に行く度に付いていって様子を見守っていたら良かったのかしら?」

立川がそう言った。


「トイレ🚽の外で待っているんですか?」

新島村が訊ねた。

「外で待っているんだったら、バランス崩して倒れた時にはわからなくなるんと違う?」

「でも、うーん、そんなん俺やったら、絶対嫌やけどね。トイレ🚽に行って横で出るまで待っているんやろう?」

小谷がそう言いながら、頭を振った。

「出る💩もんも出ないわ💩」

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