第41話 夜勤者 宗則陽香

古田も「そうだよねー」と呟いた。

「トイレ🚽終わったらトイレ🚽の中のナースコールを鳴らしてもらうようにするか?」

小谷がそう言うと、みんなが難色を示した。

「鰐浜さん、理解してナースコール出来ますかね?」

新島村が、素朴に訊ね返した。

「認知症だからなあ。でも退院してから、歩けるようになってグループホームに戻ってくるとは限らないし」

小谷がそう言った。


「事故防止策として、とりあえず見守り強化という事で、鰐浜さん1人にトイレ🚽の中にいかせるのではなく、職員が一緒にトイレに入るって言うことにしましょうか」

古田がそう言った。

「他にないかなあ」

小谷が、嘆くように言った。


「とにかく、鰐浜さんがどんな状態で帰ってくるかはわからないけど。事故防止は、これで行きましょうよ」

立川がそう言うと、皆が相槌を打ち会議を終えた。小谷が、古田に訊ねた。

「島部さんに事故報告書を書いてもらうんですか?」

「島部さん、パソコン💻苦手でしょ?」

古田がそう言って苦笑いした。

「とりあえず、私が事故報告書を書くわ。早い事、対応策を書いて提出しなければならないし。島部さんを待ってたんでは時間がかかるし」


「でも、島部さんにも、パソコン💻を打って早く慣れてもらうしかないかあ」

小谷がそう言うと、パソコンの周りでカンファレンスで集まっていた職員が解散した。古田が、一階の事務所に戻って行った。彼女は、梅🌺ユニットに介護職員として仕事をしながら、桜🌸と梅🌺のケアマネジャーとして、2つのユニットのプランを作成していた。


「では、時間⌚️ですので、帰ります」と言って、小谷が帰って行った。

新島村は、遅番の立川の夕食🍽️作りのサポートをしていたら、夜勤者の宗則陽香が大きなリュック🎒を抱えてやって来た。宗則は、夜勤専従でもう一件掛け持ちで夜勤をやっているそうだ。そこは昔から夜勤で働いており、どうしても週1度で構わないから来てくれと言われており、仕方なく行っているそうだ。


歳は、40代半ばなのだろうか。掛け持ちでパートで夜勤専従として働いているのは、何かしらの背景があるのだろう。セクハラや、パワハラと言われるようになって、変にプライベートに根掘り葉掘り聞くことが憚れるようになった。補助椅子に自分のリュック🎒を下ろした。額には、汗💦が滲んでおり、「暑いね」と言いながら、額を拭いた小さなハンカチ型のタオルで額の汗を拭いた後、顔の前でパタパタさせた。

「何か変わった事がありますか?」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る