第17話 気になる気
そして五十川も慌てて立ち上がりながら答えた。
「私が、ドアを開けたら、新島村さんがドア🚪の裏側にいて思い切りぶつかってしまったんです。それを謝っていたら、今度は服部さんが開けたドア🚪で私が押された形になって、新島村さんに飛び込んだんですよ」
それを聞いて一瞬、まるで新島村は9回裏でサヨナラ満塁ホームランを打たれ逆転されたピッチャー⚾️のように、「ポカーン」と口を開けた表情になった。まさか五十川智恵莉が、まさか自分の名前を覚えているとは思わなかった。
小規模多機能とグループホームとは、接点がまるで無く、職員同士一応顔は知っているくらいの程度で名前までは知らなかった。それなのに、五十川が新島村を知っているなんて!街で財布👛を無くして戻ってきたくらいの喜び、奇跡、ミラクルに近い。
「何、それ?コントやん?」
ドア🚪を開けてぶつけておいて謝りもしない服部のずうずうしさに、新島村は逆に頭が下がった。まずはぶつけた謝罪🙇を言うのが筋だと思うのだが。
「本当に、そう」
五十川は、少し笑いながら言った。
「そもそも、あんたが扉🚪の後ろに、ボサーっと立っているのが間違いのもとやろ?五十ちゃん、気にしんでええ。新島村さんやったら、こんなドア🚪にぶち当たられたって平気やから」
そう言って笑いながら、狭い階段のスペースに入って来た。
『お前が言うな!』言いたかったが、その前に2人の間に服部が短躯の身体を捩じ込んできた。
『な、なんで、まだ狭い階段のスペースに入って来るねん?』
いや待てよ。逆に、そんなこと余計な事を言ったとしたらコテンパンに反撃されてしまうだろう。バレーボール🏐で10本の指☝️全部を突き指するくらい痛い目に遭う事になるのはわかっているので、思わず『我慢、我慢』と心の中で念じながら、新島村もゆっくりと立ち上がった。
服部は、他のユニットのグループホームの職員なので、小規模多機能で働く男性職員には馴染みの無い人物だった。本来であれば。(笑)😆
小規模多機能に入ったの新人の男性職員とかがいて、ロッカー室で着替えが同じになると、「服部」という名前の人は「誰ですか?」とよく新島村は訊ねられた。小規模多機能でも、御多分に漏れずよく聞く名前なのだろう。
「色の黒い、ほれほれ穂が抜けたような箒🧹みたいなポニーテールをしているおばさん」
「ああっ、あの強烈な?!」とみんなが言う。そう「あの強烈な」おばさんが、目の前にいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます