第18話 女子更衣室
「ごめんね。五十川さん。ついでに新島村さんも一応謝っておくわ、めんご、めんご」
服部が、そう言った。
『めんご、めんこ』って、もう死語やん?!
服部とは、ユニットでは一緒ではないのでいいのだが、合同のレクリエーションや、運営推進会議、施設全体のミィーティングや、時々服部がいるユニットに手伝いに行く以外は、余り顔を合わせることがない。
しかし、服部と一緒に仕事をしているとこのガチャガチャした行動は周りにストレスを与えてくれる。異物感満載な感じは時としてしんどい。出来れば関わり合いになりたくない。しかし、仕事となるとそうはいかない。存在自体がストレスになる人なんているのか?と思ってしまう。けれど、そんな人が目👀の前にいた。
「そ、それより五十川さん、背中は大丈夫なんですか?打ってませんか?」
「ええ。大丈夫です」
そう言うと、肘を床に打ちつけた痛みの感触よりも、先程倒された際の「ばいい〜ん」のおっぱい❤️の感触の方が残っていた。
「ははは。そうですよ。大丈夫。まず痛くない」
そう言いながら、あまりの間抜けぶりに自分が情け無くなった。
「でも邪魔でしょう?こんなところでいつまでも2人でつっ立っていたら」
服部が、そう言って2人の間を割って勝手口からに出て行った。短躯の体の服部は、少し空気の抜けかけたミシュランのタイヤのマスコットのようだった。
五十川は、気まずい雰囲気になったのか、「すみません」と言って頭をもう一度下げ、新島村の横を通り過ぎて行った。ピンクのウィンドブレーカーが羽根🪶のように広がる。まるでピンク色の小鳥🦆が舞ったようだった。そして女子更衣室に入って行った。
せっかく五十川と楽しかった時間が排水口に吸い込まれていくのを感じた。このままふと、五十川の後を追いかけて女子更衣室に入って行きたい衝動にかられた。新島村は、鉄のドア🚪を開け男子更衣室で服👕を着替えながらふと思った。
多分、服部に押されて五十川にあの2人が倒れた瞬間に、咄嗟に何か話題を振るなんて出来ない。だけど、そんな千載一遇のチャンスを物に出来ず、見逃してなかったのが悔やまれる。あの話題では無理だわ。何かの話題をふっても、どんな話題なら話が弾むのかがわからなかった。
まず第一に五十川と仕事の接点が無かった。小規模多機能型とグループホームと業務の内容が全く違い過ぎる。
第二に五十川とは年齢が20歳以上も離れている。
第三に同業種で介護職の給料💰が、安い事を知っている。他にも嫌われる要素は他にもある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます