12話 岸部結衣の思い
6月10日11時頃
「それじゃあ私、そろそろ帰ります。」
島崎さんが帰る用意を始めた。
「裕樹起こして来ようか?」
裕樹は、まだ眠い。と言って2度寝をするため、会話の後、自室へ戻ったのだ。
「いえ、良いですよ。 明日も学校で会えるんですから。 それじゃあお邪魔しました。」
そう言って、島崎さんは帰っていった。
私は、島崎さんを見送った後、裕樹の部屋に行き、裕樹を起こさないようにベッドの淵に座り裕樹の頭を撫でながら、小さな声で
「裕樹、私を信じなさい。 私の初めては、あなたに捧げるつもりだから。 本当の姉弟だったらあれだけど、私とあなたは姉弟じゃあ…、だから結婚だって出来るんだよ。」
そう言うと私は、裕樹をゆっくり抱き締めた。
昼頃だろうか、僕は目を覚ますと右腕に何か柔らかい感触が…、しかも右の方から寝息が…。
僕は右腕の方を見ると、姉が僕の右腕を抱きしめながら寝ていた。
この状態だったら、起きれないんだけど、だからといって気持ち良さそうに寝てるから、起こすのもあれだしなぁ…
そんな事を考えていると、姉が目を覚まし
「ふわぁ~、ゆ~う~き~、大しゅき。」と言って、自分の体に引き寄せるように抱きしめた。お互いの顔がものすごい近くなり、あとちょっとで、お互いの唇が重なりそうなんだが…。
「あ、あの。 お姉ちゃん、そろそろ起きたいんだけど?
「だ~め~。 お姉ちゃんはこのまま、裕樹にくっついていたいの。」
「昼御飯は、食べなくていいの?」
「めんどいから。 裕樹が何か食べ物作ってきて~。
「だったら。 離してよ!」
「え~、やだ~。」
そう言いながらも、姉は僕を離し。
「私は、カップ麺の醤油ラーメンで。」
僕はベッドから出て、台所でカップ麺の醤油ラーメンと、焼きそばを作り。 自分の部屋へ持っていくと、姉が自分のベッドかのように僕のベッドの上で寝ていた。
僕は、2つのカップ麺を机に上に置き
「お姉ちゃん。 カップ麺持ってきたよ。」
と姉を起こすと、姉はダルそうに起き上がり、カップ麺を食べ始めた。
「そういえばさぁ。」
僕は姉に聞いた。
「なに?」
「柔道部の先輩の件、本当に大丈夫なの?」
姉は、少し険しい表情になり。
「正直、絶対大丈夫とは言えないけども…。」
姉は持っていたカップ麺と箸を机に置くと、ゆっくりと僕を抱きしめ、髪を撫でながら。
「お姉ちゃんは大丈夫、お姉ちゃんを信じなさい。 あなたへの愛は、絶対に負けない。 島崎さんにも。」
「ふん。 それはちょっと色々と問題発言のような…。」
まぁそこまで言うのなら、姉を信じようか…。 僕はそう思うのであった。 数日後の事など、今はまだ裕樹には想像が出来なかったのであった。
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