10話 Past dreams ~過去の夢~

僕は泳いでいた、暗く漆黒の闇を…。

 一点の強い光が見えた、僕はそこ向かって勢いよく泳いだその光は、トンネルだった。

 僕はそのトンネルへ入った…。


 「すみません。 あの~道を聞きたいんですけど。」

 どこかの駅で、一人の少女が僕に尋ねてきた。

 「うん? なにかな?」

 答えたのは、僕の隣にいる母親が僕の代わりに答えた。

 「え~と、ここに行きたいんですけど?」

 その少女は地図を母に見せた、その少女は一つの駅を指先指していた。

 しかし文字は少しボケていた。

 「あ~、そこなら◯◯駅ね、私たちもそこに行くから、貴方も一緒に来ると良いわよ。」

 今後は、一緒にいる姉が答えた、どこの駅かは、僕には聞き取れなかった。」

 その時、阪和線の放送と共に水色の電車が入ってきた、しかし放送の声はわかるけど内容は分からないし、電車の前面にあるはずの行き先表示器も文字化けしていた。

 僕達は、その車両に乗り込んだ。

 少女は少しわくわくしていた。

 「そういえば、何であなたは一人で、◯◯駅に居てたの?

 「実は、私こっちに引っ越してくることになってたんだけど、両親がどうしても今日来れなくなって、その代わり◯◯駅に、その駅の近くに住んでいる。おじいちゃんが迎えに来るって言ってたんだけど、◯◯駅を通過しちゃって。」

 「なるほど。」

 少女は少しわくわくしていた。

 僕は

 「どうしたの?」

 と聞いた。

 「あぁ、いえ。 ただこの電車の音がいいなぁと、思っただけです。」

 「あら。 それだったら、裕樹と同じね。」

 母が何かを言っていたが、僕は無視をした

 「君もそう思う? 」

 「はい。 私幼い頃からこの電車が大好きだったんです。」

 「そうなんだぁ、僕もだよ。 この電車の、音も見た目もすべてが…」




 「き君。 裕樹君。 朝ですよ~、朝ごはん裕樹君の分も食べてしまいますよ。」

 さっきの少女と似たような声が聞こえた。僕は目を開けると、島崎さんがいた。

 確か昨夜、島崎さんが僕の家に泊まりに来て…。

 僕は体を起こした。

 「あぁ、やっと起きた。 裕樹君、朝ごはんの用意は出来てますから。 早く降りてきてくださいね。」

 「う、うん。 分かった。」

 それを聞くと、島崎さんは僕の部屋から出ていった。


 それにしても、あの夢は一体…。

 ガタン ガタンゴトンガタンゴトン…

 その時、電車が通過していく音がした。

 よくよく考えれば、あの水色の電車は…。 いやいや、ただの夢だろう…。

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