7話 始発まで語りましょう 前編
「それじゃあこれからどうしますか?」
僕達は今、南海なんば駅にいている、日本橋帰りなのだが、今晩は島崎さんが僕の家に泊まるとのことだ。
島崎さんからの質問に、僕は答えた。
「そうだなぁ。行きとは別のルートにしようか。」
「はい。」
「だったら、一回新今宮まで出てから、そこからはJRだな。」
僕達は、南海本線の空港急行で新今宮まで行った。 といっても、南海電鉄のなんば駅から新今宮までの間だったら、追い抜かしができないから何に乗っても同じなんだが。
そして、電車は2~3分で新今宮に着いた、ここかはJR線だ。
JR新今宮駅は、大阪環状線と奈良方面に行く大和路線に駅だが、阪和線からのほとんどの快速は大阪環状線に直通しているので、15分に一本のペースで、関空/紀州路快速が走っている。
「ここからは、関空/紀州路快速で行くんですか?」
島崎さんが聞いてきた
「いや、ここから一回天王寺に出てから、そこから天王寺始発の阪和線快速に乗ろう。」
僕が答えると、島崎さんは少し不思議そうな顔で
「なんでですか? 関空/紀州路快速なら一本なのに…」
「結構疲れてるだろう?」
「あっ、はい。」
日本橋で半日程歩き回ると、疲れてるのである。 ましてや、日本橋初心者ともなれば尚更だ。
「天王寺を出て環状線を一週する、関空/紀州路快速は、日中でも全区間で結構な乗車率だから、天王寺始発の阪和線快速に乗ったほうが座れるんだよ。」
「なるほど。」
新今宮からは、新型車両の323系の環状線内回り(天王寺・鶴橋方面行き)に乗った。
この323系は、大阪環状線初の大阪環状線用の新型車両で、今まで活躍してきた国鉄型車両(103系・201系)の置き換え目的で導入され、この段階(2018年の6月)で、日中の大阪環状線からは撤退しており、朝・晩の他、ゆめ咲線内の折り返し及び、ゆめ咲線への直通として活躍している。
「ものすごく、静かな電車ですね。」
島崎さんの言うとおり、車内は多少はモーター音がするも静かな車内である。
「今までが、結構うるさかった電車だっからね。」
僕が言うと
「まぁ、あのうるささが良かったんですけどね。」
「まぁ,僕もあの音が好きなんだけどね。」
というような、会話をしていると電車は天王寺に着いた
天王寺駅は、大阪環状線、大和路線の掘割部と、地上の阪和線ホームに分かれている。
阪和線への乗り換えは、中央口改札側より上に上がり、右へ行くと阪和線ホームがある。
乗り換えの最中、島崎さんが聞いてきた。
「そういえば、阪和線ホームは高架になるんですか? それにしては、中央口改札を外に行くと、そのまま地上に出ますよね?」
「う~ん。 高架ホームという捉え方は間違いではないけど、間違い。」
僕が答えると、島崎さんは少し困惑した雰囲気で
「どういうことですか?」
「詳しくは、天王寺を出てから説明しようか、そっちのほうが分かりやすいし。」
僕達は、223系2500番台8両の快速 日根野行きに乗った、座る位置は朝の快速と同じである。
そして、電車が天王寺を出発した。
右下には、大阪環状線・大和路線が見えている。 そして、左側は先程まで地上と同じ高さだったが、いつまにか高架になっていた。
「それじゃあ、さっきの質問に答えようか。」
僕が言うと、島崎さんは真剣に聞き始めた。
「大阪市内を南北に貫く、上町大地ていうのがあって、その大地の一番高い場所がこの阿部野橋周辺、もとい天王寺駅の中央改札付近なんだよ。 だから天王寺駅の西端に位置する中央改札付近では地上でも、東側では普通の高さに戻る。 だから、阪和線ホームでは、実際には2階部分に居るのに1階部分に居てるようになったり、大阪環状線・大和路線のホームでは、1階部分にいながら地下に居てる錯覚になるんだよ。」
「あぁ! そういうことだったんですね。」
島崎さんが納得したようだ
ちなみに掘割部とは、天王寺のような台地に溝を作ることである。
「ちなみに、こういうのは次の快速停車駅でもある、堺市駅でもいえるんだよ。 まぁ、そっちの方は、大地かはわからないけど。」
「それを調べるのが、電車オタクじゃあないの?」
と、姉が言ってきた。 さっきまで沈黙だったのに
「いや、そこは電車オタクより、地形好きがやることじゃあないのか?」
「さぁね、私は寝るわ。」
そう言って、1分も経たないうちに姉から寝息が聞こえてきた
「他にも何か、豆知識を教えて下さい。」
島崎さんから、そう言われたので、僕は、少し電車の豆知識をいくつか教えていると、電車は和泉府中駅を過ぎたので,僕は姉を起こした。 次の停車駅の、東岸和田で普通列車に乗り換えることになっている。
「う~ん? 今どの辺り?」
姉が、目を擦りなから聞いてきた
「え~と、今は和泉府中を過ぎたところですよ。」
島崎さんが、姉に教えた
「うん、ありがとう。 あのさ、島崎さん。」
「なんですか?」
「学校以外では、普通にしゃべってくれてもいいのよ。 私のことは、名前呼びでもいいし。」
「分かりました、結衣さん。」
「僕のことは、今までどおり。 裕樹くんでいいよ。」
「はい。」
その後、僕達は和泉府中で普通電車に乗り換え東貝塚に向かい、家に帰ったのであった。
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