6話 女子二人と行く日本橋 後編
なんば駅に着いた僕達は、日本橋へ向かって歩いていた。 といっても、日本橋…オタク街は南海なんば駅から歩いてすぐである。
「そういえば、二人は日本橋に来たらどんなものを買うんですか?」
島崎さんが聞いてきた
「まぁ、これと言って無いかな。」
僕が言うと、今度は姉が
「そうだね。 何の目的もなく行って、予算以内の欲しい物があれば買う。ていう、感じかな。」
「なるほど。」
その後は、アニメショップや鉄道模型店などを巡った後、昼食を日本橋近辺にある海鮮丼屋でとり、なんば駅に戻った。
なんば駅に戻ると、姉と島崎さんが、なんば駅に併設してある百貨店で服探しをするという。
「裕樹はどうする? 私達と一緒に来る?」
姉が聞いてきた。
「まぁ、僕はいいかな。 服は充分あるし、なんば駅で撮り鉄でもやっておくよ。」
「わかったわ。 買い物が終わったら連絡する。さぁ、行こ。」
「はい。」
そう言って、姉と島崎は百貨店へ入っていった。そして、僕は南海なんば駅へと向かった。
岸部くんと別れた私は、結衣先輩と服選びをしていた。
「島崎さんは裕樹の事、どう思ってるの?」
結衣先輩が聞いてきた。
「えっ、えっ!? ど、どいうことですか?」
結衣先輩の質問に私はかなりテンパってしまった。
「き、岸部くんの事は、べ、べ、べつに、な、な、なんとも思ってませんよ。」
結衣先輩は少し笑顔になりながら。
「うふふ、島崎さんは、分かりやすいね。
裕樹のどこに引かれたの?」
「だ、だから、べ、べ、べつに引かれてませんよ。 今回は、あくまでも日本橋を案内してもらおうと。」
「だったら、何で私じゃあなくて裕樹に今回の事を相談したの? 嘘までついて。」
ギクッ!
「う、嘘じゃあないですよ。 私の家、1人だけじゃあ学校ぐらいしか行かせてくれない…」
「裕樹には黙っててあげるから。 あなたは、ただ裕樹と話す機会を作りたかったんだよね。」
「はぁ、先輩に嘘はつけないですね。 確かに私は、趣味を分かち合う異性が近くにいてほしかった…というのが理由です。」
「それじゃあ、恋人としては見てないってこと?」
「どう、なんですかね。 私にも、まだ分かりません。」
「まぁ、ゆっくり考えたらいいんじゃあない? 裕樹が他の娘に告白されるような感じじゃあないし。」
「そう…ですね。」
本当に私は、岸部くんの事をどう思ってるんだろう…。
僕は、今南海のなんば駅のホームで撮り鉄をしている。 最近、ホームの和歌山(南寄)の端に柵が設置されて、少し撮りにくくはなったが、なんば駅手前のカーブしながらの、駅へ入ってくるのは、全車両が写って結構いい場所と思っている。
(ここで豆知識)
大阪ミナミの中心駅である、難波(なんば)には、南海電鉄のなんば駅の他、大阪メトロのなんば駅、近畿日本鉄道(以後近鉄)・阪神電鉄の大阪難波駅と、少し離れているがJR西日本のJR難波駅がある。
なぜこうも、ひらがな表記と漢字表記が存在するのか。それに南海電鉄、大阪メトロ共に、正式には漢字を使用している。 これは、なぜかと言うと。
駅名は大坂城下の難波新地および西成郡難波村に由来するのだが、「難波」という漢字では「なにわ」とも読めるため、南海電鉄・大阪メトロの駅構内や車内の案内表示、及びインターネットや外部の案内では「なんば」と平仮名表記で統一されている。
なお、近鉄、阪神の大阪難波駅、JR西日本のJR難波駅、こちらでは駅構内や車内の案内表示、及びインターネットや外部の案内では漢字の「難波」を用いている。
そして、40分程過ぎただろうか。 そろそろ、疲れてきたなぁ。と、思い僕は中央改札へと向かった、中央改札付近では良く甘いお菓子などを売っているのだが…、あった!
僕は、そこでお菓子…スイーツを購入した、時姉から「今からなんば駅に向かう、どこに居てる?」と、着信がきた。 僕は「中央改札内」と返事すると、数分後に二人が、中央改札に着いた。
「お待たせしました。」
島崎さんが軽く礼した。
「いやいや、全然待ってないよ。」
「どちらかと言うと、裕樹はもっとゆっくりしたかったんじゃあない?」
姉が言うことも、間違いではない…
「さて、どうやって帰りますか?」
「そうだな…」
その時、島崎さんのスマホに電話が入った。
「あっ、 お母さんからだ! ちょっと、失礼します。」
と言うと、島崎さんは僕達から少し離れて電話に出た
「そういえば、裕樹が持ってるその紙袋なに?」
紙袋…、さっき買ったスイーツの袋だ
「うん? 内緒。」
「え~? なにそれ?」
そして、島崎さんが戻ってきて
「あの~。 お母さんからの電話で、私の両親今日帰るの遅いから、ゆっくりでもいいよ。 らしいです。」
な、なんだか…、こういう恋愛のお約束パターンなのか??
「だったら、私達の家で晩御飯食べていく?
私達も、今両親がいないから。」
姉が話を進めていく。
「なんだったら、泊まってもいいし。」
きましたよ。 お約束、お泊まりパターン!
「裕樹もべつにいいよね?」
「う、うん。 べ、別にいいんじゃあない?」
「ありがとうございます。 だったら、お母さんに電話して、そう伝えます。」
そういうと、島崎さんは電話かけ始めた。
なんだか、裏がありそうな…いや、考えすぎか
しかし、裕樹の勘は当たっていた。
今から数十分前、島崎と結衣が裕樹について、話している後のことである。 結衣が、突然、島崎にある提案をした。
「島崎さんさぁ。」
「なんですか?」
島崎が聞いた
「裕樹があなたの事、どう思ってるか確かめてみたら?」
「どうやってですか?」
「たとえば、お泊まりとか?」
島崎は慌てて
「お、お、お泊まり? 私達まだ、高1ですよ?」
「別に一線を越える必要はない。 というより、キスすらしてないのに、一線を越えるのはおかしいでしょ? それに、裕樹にそこまでやる勇気は無いって。」
「そ、それじゃあなんでですか??」
「だから、裕樹があなた事をどう思ってるか確かめるんだよ。」
「そ、それは分かりましたけど、着替えはどうするんですか? 私、着替え持ってきてないですし、それにお泊まりの理由は?」
「う~ん。 たとえば、島崎さんの親が突然、今日帰るの遅いから、ゆっくりでもいいよ!とかって、ていう電話がかかってくるとか?
それに、あなたがついた嘘が本当だとしても、部長である私の家だったら、そこまで違和感はない、でしょ?」
「た、確かに、多少の違和感はあれど、そこは私達で話を進めれば、なんとかいけるかもですね。でも、本当にいいんですか?」
「えぇ、私達の所は今、両親がいてなくて二人きりだから、少し寂しかったの。」
「だ、だったら、お母さんに電話してみます。」
そして、島崎の母からの電話は、別にいいよ。 という、返事だったので、島崎と理沙が計画した、お泊まり計画は実行されたのであった…
次回、始発まで語りましょう! 前編
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