3話 ブラコン女 岸部 結衣

僕と島崎は、その後阪和線に乗り東貝塚駅まで行きそこで別れ,駅から歩くこと数分で家に着いた。

 「ただいま~。」

 家に入り、玄関で靴を脱ぐと。

 「お~か~え~り~。」

 と、姉の結衣が走ってきて、いきなり抱きついてきた。

 「うぇっ!? お姉ちゃん、いきなりどうしたの? 」

 「うふふ、お父さん、出張でとうぶん帰れないって~、お母さんも、おばあちゃんの介護で、もしかしたら、とうぶん帰れないらしいし~、とうぶん二人きりだよ!」

父からの暴力は、最近収まっているというか、無くなっている、姉によると、数ヶ月前に亡くなったおじいちゃんから、きつく言われたらしい。 そして、貨物船の航海士をやっている、父が帰ってこないのは、最近はよくあることである。

 おばあちゃんの方は、少し気になることではあるが、おばあちゃんの家は新潟にあるからあまり行けないのである。

 「う、うん。 そうだね。」

 「なに? もしかしたら、裕樹はお姉ちゃんと二人きりで、居るのいやなの?」

 「いやそんなことはないけど、お姉ちゃん少し苦しい…。」

 今、僕の胸の辺りに、高二のものとは思えないほどの弾力の姉の胸が当たっていた。

 「うふふ、当たってるんじゃあなくて、当ててるんだよ。」

 「えっ!?」

 なになに? 心が読めるの?

 などと、思っていたら。 姉はすっと離れた。

 「さぁ、晩ごはんの用意するから、裕樹は着替えといで。」

 「うん。」


 僕は、2階の自室へと向かった、窓を開けるとそこには線路が…、そう、僕の家は阪和線沿線というより、阪和線の真横の一軒家に住んでおり、2階を僕と姉のそれぞれの自室と、2人用のリビングとベランダがあり、一階にはその他の部屋があった。

 僕の部屋には、多くの鉄道模型車両やアニメのフィギュア、アクリルスタンド。 壁にはかつて実際に駅に設置したあったという阪和線の天王寺駅の時刻表、路線図を模したカレンダー、アニメのカレンダー、ポスターなどを飾っている、この部屋に入った、友人はまだいない。


 僕は部屋着に着替え終え、椅子に座りながら考え事をした。 机の奥に、窓がありその外には先程のとおり、阪和線が走っているので定期的に、電車の通過していく音がした。 少し前は、国鉄型が走っていたが、今となってはJR世代の車両ばかり、なのに何故か嫌いになれない。

 「相変わらず、裕樹の部屋はカレンダーが多いねぇ」

 考え事をしていて、気付かなかったが姉が僕のベッドに座っていた。

 「うん。 なにか用?」

 「別に…、ただ少し紅茶とコーヒーの匂いがしたから…、このコーヒーの匂いは、下松駅の前の喫茶店かな? そんで、裕樹が友達と喫茶店なんかに行く事はない、それに裕樹がなにか深刻に、考え事をしている。 もしかしたら、恋のお悩みかな?」

 「なっ!なんでわかったの?」

 「うふふ、少しは隠したらいいのに、まぁ隠したとしても、お姉ちゃんは知ってるけど。」

 「なっ、なにを?」

 「だって、お姉ちゃん。 裕樹が昼休みに、女子に話かけられてるの、見ちゃったし、あの娘、島崎さんは、私が部長やってる園芸部の唯一の一年生部員だから、なんとなくあの娘の性格とか趣味とかは知ってるから、もしかしたら…。 って、思ってたんだよ。」

 「はぁ、偶然って怖いな。 お姉ちゃんの言うとおりだよ。」

 本当に偶然ていうか、運命って怖い

 姉は、自分の右側に僕を座らせて。

 「さぁて、それで、どんな話したのかなぁ?」

 と、言いながら姉は左手で僕の手を握り、右手を僕の右肩においた。 おそらく、姉じゃあなかったら僕の方から、姉をこのままベッドに押し倒したいと思ってしまった。

 「まぁ、買い物に誘われただけだよ。」

 「買い物!?」

 姉はものすごく、驚いた表情になり

 「それって、デートのお誘いって、やつじゃない?」

 「いや、そんな感じというより…。」

 僕は、彼女から先程、喫茶店で聞いた事を姉に説明した。

 「ふ~ん。 彼女がそんな状況だったんだ。なんだか、昔の裕樹みたいね。」

 「うん。 もしかしたら、僕も昔の自分を見ているように思ったから。 了解してしまったんだと思う。」

 「そうだろうね、やっぱり裕樹は優しいね。」

 そう、言いながら姉は、僕の頭を撫でた。

 「だったらさ、私も行っちゃダメかな?」

 「えっ? どこに?」

 「日本橋だよ、裕樹の姉として。 島崎さんの先輩として。」

 「う、うん。 本人にが、良いって、言ったらだけど。」

 「うん。まぁ、たぶん彼女は良いって、言うと思うよ。」

 「なんで?」

 「そこは、乙女の、ひ・み・つ」

 一体どいうことだ?

僕は、早速LAINで島崎さんに、姉も付いていってもいいか、聞いてみると、聞いてみると姉の言うとおりOKだった。

 「OKだってさ。」

 「ほらね?」

もしかしたら、姉と彼女は部活の先輩、後輩のだけの関係じゃあないかもしれない。 と、僕は思うのだった。

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