走れ!夢枕小学校心霊部

ふえせんせー! 今日きょうも、こわはなし おしえてくれよ!」

 ほうのチャイムといっしょに、おとこ げんよくびこんできた。

 ここは、ゆめまくらしょうがっこう瞑想室イニシエイションルーム。五ねんせいぐらぐらタクトは、ここをしつにしてかつどうしている、「しんれい」のぶちょうなのだ。もっとも、いんはタクトをふくめて、二だけなのだけれど……。

ぐらぐらくん、ろうはしったらいけないな」

 そのもん しばりくびふえせんせいわりにすわっていたのは、こうちょう 骨壺こっぽせんせいだった。

「わっ、ごめんなさい。って、こうちょうせんせい?」

「もう! ってってば、ばか!」

 おくれてびこんできたのは、タクトのおさななじみひめナツキだ。

「あれっ、こうちょうせんせい⁉」

ろうはしってはいけないよ」

「は~い……」

こうちょうせんせい、どうしたんですか?」

きみたちしかいないしんれいは、せいしきかつとしてみとめられていない。それをつたえに……ウッ……」

 そのとき、つくえ したからふえせんせいがでてきた。

「あれっ、ふえ――じゃなく しばりくびせんせいいたんだ、じゃなくて、いた、ですか、なんでそんなところに?」

いきあらいわ。あいわるいの?」

なんでもないわよ」ふえせんせいはハンケチでくちもとをぬぐった。

こうちょう まんねんひつ、ありましたわ」

「うむ」

 こうちょうせんせいはペンをポケットにしまうと、あらためてつづけた。

こうまりとして、しんれいなんてちんは、そんざいしないことになっている。きみたちも、べつかつにはいりなおすんだ」

「えー!」タクトがこえをあげた。

こうちょう! おはなしちがいますわ」

 しばりくびくんのたい如何いかんだね」

いやらしい大人おとなね……」

ぐらぐらくんは、サッカー。おてんひめくんはどうでもしたまえ」

「いきなりそんなの、ひどいわ」

 すると、ふえせんせいが、ぴしゃりといった。

「これからせんせいどうはなうから、あなたたちは、もうかえりなさい」


かえれるわけないよ!」

 そういって、タクトはいしった。

 おとなしくこうもんまできた二だったが、はないの行方ゆくえあんで、こうもんのところであしまってしまったのだ。もう、かれこれ一かんちかくこうしている。

ふえせんせいって、どうしてわたしたちのために、あんなによくしてくれるのかしら」

せんせいだからだろ?」

「そうかなあ」

ふえせんせいにくらべて、骨壺こっぽのやつ。せきっちゃおうぜ」

「あのルートならつぶれたでしょ」いきなり声をかけられて、ふたりともびっくりしてびあがった。くと、ふえせんせいっていた。

ふえせんせい‼」

「おとなしくかえるわけないとおもってた」

せんせいかおあかいし、いきがあがってるわ。だいじょうぶ?」

はしったからよ」

「シャツもみだれてるわ」

「あはは、せんせいが、はしっちゃじゃんか」

 ふえせんせいみだれたかみをささっとなおすと、二ほんゆびててほほんでみせた。

「ほんとう⁉」

 タクトとナツキが、こえわせた。ナツキがふえせんせいきついた。タクトにやりれられて、はじめはあんなにいやがっていたのに。

「ところでタクトくん、あのたくま 肉体からだをしたおとうさんはございたく?」

「ああ、いるぜ。とうちゃんはおんみょうじだから、いつでもいえにいるんだ」

「そう……。いつでも……。じゃあ、とりあえず、いまからごあいさつにいきましょう」

 ふえせんせいあるきだすので、ふたりともあとにつづいた。タクトはあんになった。

「なあせんせいていほうもんは、このあいだわっただろ。テスト、そんなにわるかったの?」

「そりゃもう」ふえせんせいはいたずらっぽくわらった。

しんれいせいしきみとめられたの。ぶちょうさんのおとうさんに、あいさつしないとね」

「なんだよ~! いまのがいちばんこわかったよ~!」

 そのまま、タクトがけだした。とても、じっとしていられなかったのだ。

「もう、タクトったら!」

 ナツキはさきにいってしまったタクトをにしながら、

「ねえ、せんせい

「なあに?」

「いくらもんだからって、いえにまでくるなんて、いたことないわ」ふえせんせいえとけわしくなった。

「そう……それで?」

ちがっていたら、ごめんなさい。もしかしたら、ほんとうに、タクトのせいせきたいへんなんじゃ……」

 ふえせんせいが、おもしろ じょうだんいたみたいにきだした。

どもほんとう可愛かわいいわ」

 ナツキは「こわっ」とおもった。

「ねえせんせいせんせいはどうして、わたしたちにこんなによくしてくれるの?」ふえせんせいあげた。

「あなたにもじきにわかるわ」

 ふえせんせいはナツキにめるようなせんおくった。ナツキにはよくわからなかったが、ふえせんせいが、とてもかっこうよくえた。おもわずかんどうしてじっとしていられず、

「タクト、ってよ〜!」

 ナツキも、タクトにつづいてはしりはじめた。なめしたようなあかゆうまちをゆっくりとめていた。

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