ちょっと怖い夜
円山まどか
ちょっと怖い夜
空き地
半年前、この空き地はこんなにも鬱蒼としていなかった。ある日芽をだしたと思うや、またたく間にミントの葉が空き地を埋め尽くした。
雨が降っていた。くたびれた男が空き地を眺めながらほろほろといった。
「半年前に息子が失踪したのです。息子は妻のために、生花店でミントの種を買ったのです。ところが店をでたあと、どこへいったのかわからないのです。私はこの空き地をとおりがかるたび、切なくてやりきれなくなるのです」
男は、私が少年をここに埋めたことを知っているのではないかと思った。雨に濡れた葉が香りをいっそう強く、耐えがたいものにしていた。
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