第4話

 テラスに降り立ったマルは、窓のそばに淡い光を放つ小さなものを見つけました。

 小さく、淡く、きらきらしている光。実際に見たのは初めてでしたが、マルはすぐにその正体に気づきました。

「こら! お前は星の子じゃないか!」

 マルは、淡く光を放つ、小さな星を叱りました。

 マルに叱られた星は、背中にくっついた、それこそ小さな羽をパタパタと震わせて振り返り、マルを見つけると慌てて逃げ出そうとしました。

 そうはさせるか! と、マルはすぐに星の子の羽を掴みました。

 小さな星の子は、マルに羽を掴まれ、マルの手の中でパタパタと暴れています。

「ごめんなさい! ごめんなさい! お空に帰らなくちゃいけないのは分かってるんです! だけど、僕のせいでママが泣いてるから! だからお願いです! もう少しだけ! もう少しだけ地上にいさせてください!」

 星の子は、マルの手の中で泣きながら訴えてきます。

「僕がドジじゃなかったら、こんなにママを悲しませることなんてなかったんです」

 そう言って、星の子は暴れるのをやめて、マルの手の中で大人しくなりました。

 淡く黄色に光っている星の子は、マルから見てもひどく心を痛めているようです。泣きじゃくる星の子を無理やり空に帰すのがためらわれ、マルは少しの間考え込みました。

 けれど、悩んでいる時間はありません。間もなく夜明けです。夜が明けているのに星が出ていては、人間が不思議に思うに違いありません。

 マルは、星の子を連れて雲の上にもどることにしました。

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