残った触手

 たしかに、他の魔王たちは動きたくても動けない様子だ。


「異常な回復力、連射力。それでいて萎えない持続性。魔力の素養もさることながら、夜の生活においても絶大なパワーを秘めていたのです」


 それ、誉めてるんですか?


「ましてチサはサキュバス。一度の行為で、あなたのすべてを奪う危険もあった。なのに、あなたは生きている」


 ロイリさんも、あの手この手でボクたちを翻弄して、チサちゃんに精力を吸い尽くさせた。


 でも、ボクはすぐに復活している。


「とはいえ、あと一発出せればいい方では?」


 たしかに、ボクはもう限界だ。いくらチサちゃんとの行為が極上の快感を生み出すからといって、ボクの体力が持つとは限らない。


「残る触手は、わたしのを含めてあと三本。つまり、あと三発は温存して置かなければなりません! さあ、どうしますダイキさん?」


 他の魔王たちは、みんなグッタリしている。すべての力を放出して、脱力していた。回復には、まだ時間がかかるだろう。今日一日では、ムリかもしれない。


「ダイキ、も、もうちょっと待って。コイツから搾り取るから」


 マミちゃんが、ケイスさんの身体を乱暴にさする。正確には、下腹部をだけど。


「マ、マミ、さま。無茶です。もう、何も出ません」

「何を言っているの、あなたは従者でしょ? 玉座でしょ? 根性見せなさいよ」


 それは、ムリってものだ。ボクでも魔力を出し尽くしてしまったんだから。これ以上、みんなにムリをさせられない。


 他の魔王たちも、なんとかボクを助けようと、魔力を絞り出そうとしていた。

 具体的にナニをしているとはいえないが。



「頼りになるお仲間は、もう動けません。あなたが一人で乗り切らなければ、全滅ですね」


 すごくうれしそうに、ロイリさんはボクたちを見下ろす。


「さて、どうします。残り三本の触手をどうやって攻略するか」

「いや、残りは一本や」

「え?」


 邪神ラヴクラホテップに諭され、ロイリさんが気の抜けた声を発した。


「なんですって?」

「せやから、残りの触手は一本しかあらへん。お前が乗っかってるやつだけや」


 たしかに、触手はあと一本だけである。

 戦闘……というかそれに乗じて起きた快感に夢中で、注目していなかったけど。


「どういうこと?」

「忘れたんか? ワシは触手を破壊されたんや」

「……そうでした。イクミが!」


 ラヴクラホテップの誘導で、ロイリさんが記憶を取り戻したらしい。


 たしかイクミちゃんは、力を奪うためにラヴクラホテップと戦ったんだっけ。


 それで、触手を奪われて弱体化したって言っていた。

 奪った力は、ネウロータくんの妹であるキュラちゃんに移植されたんだ。


 ということは、イクミちゃんもあの天にも登るような快感に耐えて。

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