チサちゃんの中、あったかいナリ

「チサの中って、どうでした?」

「暖かかったです。ずっと繋がっていたい」


 戦闘なんて忘れて、没頭したいくらいだ。


 この戦いが終わった後は、思う存分チサちゃんと、こんなことができる。そう思うと、興奮が収まらない。


「それはよかったです。チサも喜んでいますから」


 実にうれしそうに、ロイリさんはボクの感想を聞く。


「じゃあ、チサはどうでした? ダイキさんの【魔力棒】は」


 自分で音声加工して、ロイリさんは直接表現を避けた。


「頭が真っ白になった。ダイキの【魔力棒】、わたしと相性がいい」


 チサちゃんも加工して、ワードの直接的な言い方を伏せる。


 ボクので満足してくれたなら、なによりだ。


 けど、脱力感がすごすぎる。そこで、ボクは現実に戻された。


 この攻撃を連発しないといけないんだ。あと九ラウンドは、チサちゃんとそういうコトを。


「あなたは一発で満足げですけど、チサはどうなのでしょう?」


 ボクは、チサちゃんを見つめた。


「ダイキ。ダイキの、もっとほしい」


 目がハートになっている。


 こんなのフィクション以外で始めてみた。ボクの指に、チサちゃんが指を絡めてくる。戦闘そっちのけで、アッチの方に夢中になっているようだ。


「やはり、サキュバスですね。一度あなたの味を直接知ってしまって、病みつきになっています。もっと欲しがっていますから、たっぷり飲ませてあげてくださいね」

「じゃ、じゃあ、こっちが負ける条件は」


 こちらには、弱点を露出するなんてルールはない。まさか。


「はい。腰が抜けて足場から転落すると、普通に負けます。でもご安心を。快楽地獄に堕ちるだけですので。堕ちた先で、好きなだけチサとの逢瀬を楽しんでくださいな」


 この勝負に負けると、ただ快楽をむさぼるだけのケモノになってしまう。


 魔王としての業務をこなすこともできず、ルチャの遺志を継ぐことも不可能に。


 きっと他の魔王たちも、我を忘れて快楽に溺れたんだ……。


 それは、ダメだ。


 どれだけの人たちが、ボクを先へ進ませるために犠牲になった?


 その人たちの気持ちに、ボクは応える。


「……は、はうん!?」


 そんなボクの覚悟は、チサちゃんの魔法であっけなく蕩けていく。


 また腰が抜けた。背中がのけぞり、声が裏返る。


 チサちゃんが、二つ目の触手を潰したんだ。ボクの精力を使って。


 思わず、ボクはチサちゃんを後ろから抱きしめてしまう。


 気持ちいい。


「いいですよ。女の子みたいな声を出して。イッたばかりで連発はきついでしょう」


 勝っている。ボクたちは優勢だ。


 けれど、この快感に抗えない!


「ダイキ、魔力補給」


 チサちゃんが、ボクに口づけた。

 思えば、これがチサちゃんとちゃんとしたキスじゃないか。

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