4-4 運命の戦い! それぞれの世界線!

変わり果てたマミちゃん?

 ボクたちの前にいるマミちゃんは、やや大人びている。

 胸の大きさなどは、まったく変わっていない。

 が、髪はエジプトの王女みたいに前髪ぱっつんで切り揃えていた。

 両足に大胆なスリットの入った、神々しいドレスをまとう。

 手には、コブラをかたどった黄金の杖を持っていた。

 他にも、金キラな装飾品で全身を覆っている。


 いつもの短パンとランニングシャツという、出で立ちではない。

 完全に、魔王として覚醒してしまったようだ。


 もしマミちゃんがオトナの魔王になったらこうなるんだろうと、容易に想像できる。


 しかし、ボクらが知っているマミちゃんとは、明らかに雰囲気が違った。


「マミちゃんどうしちゃったんだ!?」

『……マミちゃんだと? 気安く我が名を愛称で呼ぶでない』


 言葉遣いまで、なんだか仰々しい。雰囲気を出している。


『我が名は【マミー・ニフェルラトゥム】! この地を統べる魔王なり!』


 腕をジャラジャラ言わせながら、マミちゃんは両手を横へ広げた。

 その動作だけで、人を威圧するオーラを発する。


『人間と、我が領域を侵略しようとする魔の者よ。我が前に立ち去れ。もしこの地にとどまるというなら、容赦はせぬ!』


 スフィンクスとなったケイスさんの尻を、マミちゃんはコブラの杖で小突く。

 こういうところは変わっていないんだね。


 でも、ホッとしている場合じゃない。

 ケイスさんが全速力でボクに体当たりをしてきた。


 とっさに避けたけど、腕に軽くアザができている。

 ちゃんと回避したはずなのに。


『さすがに、我が同胞というだけあるな、魔の者よ。しかし、これはどうか』


 マミちゃんがカードを数枚、懐から取り出す。

 複数のカードを、開いた状態で地面に叩きつけた。

 スケルトン兵士の姿が描かれている。


 ズズズ、と、カードがスケルトンの姿に変わった。

 包帯を巻いているから、ミイラ兵と形容したほうがいいかも。


「目を醒ましてマミちゃん! ボクはキミとは戦いたくない!」


 ミイラ兵士を武器で倒しながら、ボクはマミちゃんに呼びかける。


 しかし、相手はまったく反応がない。


 それどころか、マミちゃんは杖から竜巻を起こす。ミイラ兵の間をかいくぐって、ボクの死角を責めてくる。


 なぜなんだ、マミちゃん?

 ダンジョンの攻略が辛すぎて、豹変してしまった?

 そんなワケないよね?

 ボクもチサちゃんも、ピンピンしているんだから。


 ボクが迷っていると、チサちゃんがなんのためらいもなくマミちゃんを火球で攻撃した。


「チサちゃん! いくら敵になっちゃったからって、友達に攻撃を仕掛けるなんて」

「あれは、マミじゃない」

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