センシティブなワナ

「ダイキ」


 ボクの両手をギュッと握ったまま、チサちゃんはチサちゃんはボクと向かい合う。吐息がずっと荒い。彼女の視線は、ずっとボクの大事なトコロに向けられていた。


 もう隠すこともできないくらい、ボクのは張り裂けそうになっている。


 それでもチサちゃんは、ボクにソレを隠させようとしていない。


 チサちゃんを抱きかかえ、視線をモノからそらす。でも、かえってやばい。抱き上げるだけで、理性が失われそうになる。顔が近くなった分、キスしたい衝動にかられてしまう。


 チサちゃんも同じようだ。ボクの首に手をかけて、目をつむった。ボクに唇を寄せようとする。ボクが顔をそらすと、ホッペタや首筋をずっとチュッチュしてくる。


 サキュバスの本領を発揮したチサちゃんの理性破壊力は、すさまじい。脳がとろけそうになる。


「一つだけお教えしましょう。カギは二つあります」


 セイさんが、指を二本立てた。


「その一つが、やっぱり」

「ええ。セックスです」


 つまり、ボクとチサちゃんが男女の関係になったら、ここから脱出できると。


「しかも、このガスを吸った状態で行うセックスは、極上の快感を得られるそうです」


 サキュバスの呪いがかかっていて、一生病みつきになっちゃうらしい。


「つまり、脱出できたとしても」

「はい。性のトリコになってしまって、魔王としての業務を放棄してしまいます。子宝には恵まれますが」


 仕事そっちのけだから、待っているのは地獄ですよね、それ。 


「このガスは、ボクたちをエッチさせるために誘導していると?」

「はい。ロイリ様だって、孫の顔が見たいそうでして」


 気が早いな、あの魔王は!


「では、スタートです」


 生殺し状態での、脱出方探しが始まった。


「チサちゃん、なんだと思う?」

「ダイキとわたしがくっつけっこする」


 話しかけてみたが、チサちゃんのエッチ度はかなり重症だ。


 今ボクの頭は、チサちゃんをベッドに押し倒したい気持ちでいっぱいだ。


 今までそんな話なんか、少しもしたことはなかったのに。


 目がハートになってしまったチサちゃんは、もはやエッチなこと以外考えられないみたいである。


 こんなにも、すまさじい作用があるとは。


「今までずっと、ダイキとこうなることをガマンしてきた。だから、ずっとこうしていたい」


 ボクの足にへばりついて、離れようとしない。


「ガマンをしすぎて、チサ様の潜在意識が表に出始めていますね」


 そうか。チサちゃんは寂しかったんだな。本当は、性的な知識はあったんだろう。


 ボクに意気地がなかったばかりに。変に、子供扱いしちゃってた。


「ごめんね、チサちゃん。そんなこと言わせちゃって」


 ボクは、チサちゃんの頭を撫でる。


 ここでムリに引き剥がして、関係を悪化させたくない。


「ボク一人で脱出方法を探すから、チサちゃんは応援して。くっついてていいからね」

「わかった」


 まずは、ベッドにかけてあった靴下を取る。英語で「ソックス」だ。


「これを、足に」

「靴下を穿いたまま、エッチなことするのが好きなの?」

「違う違う」

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