撃滅! 勇者エレクチオン!
「うん! えい!」
力の限り、ボクは勇者の顔面を掌底で殴った。黒龍鱗を発動させたままで。
顔、らしき部分がグシャっとひしゃげる。
勇者は、海底神殿の天井を突き破っていった。
そこまで強いパンチを撃った覚えはないんだけど?
「すごい」
これが、レベルMAXの本気なんだ。
『追いかけてダイキ』
「分かった」
ボクは、遥か上空まで跳ぶ。海すら突き抜けて。
「っしゃあああ!」
空中でバランスを失っている勇者に、掌打の連続攻撃を浴びせた。
防御できず、勇者は打たれるままだ。
「くらえ!」
渾身のモンゴリアン・チョップを、勇者の肩に叩き込む。
勇者は、近くの島に不時着した。壊れた人形みたいに、勇者はバウンドする。
ボクも、地上へと降りた。
あれだけ怖かった勇者が、今は相手にならない。
確信できる。ボクは勇者に勝てると。
勇者は笑っていた。
未だにボクを人間だと侮っているんだ。
彼に思い知らせよう。人間は強いのだと!
「テンション上がってきた!」
ボクは、勇者にドロップキックを見舞う。
両足蹴りを浴びて、勇者は吹っ飛んだ。あれだけ余裕があった表情に、陰りが。
勇者が、突き攻撃を繰り出す。
そのことごとくを、ボクはパンチで弾き飛ばした。
苛立った勇者は、跳躍する。剣を大きく振り下ろしてきた。
「だらっしゃあああ!」
軽くかわし、ボクはカウンターでラリアットを放った。
勇者の首を刈り取り、地面に叩き付ける。
それでもなお、勇者はコマのように旋回しながら、ボクの胴をなぎ払おうとした。
「もう、終わりにしよう」
そんなスローモーションみたいな動きでは、ボクを斬るコトなんてできない。
たやすく背後に回って、両腕で勇者を抱え込んだ。
「バックドロップ!」
ボクはブリッジで勇者を投げる。
勇者の後頭部が、地面にめり込んだ。そのまま壊れた人形のように、勇者は意識を失う。同時に、煙となって消滅した。
「死んだ?」
「あれは勇者の残留思念。エネルギーの塊。パワーを使い果たして、実体化できなくなった」
「つまり?」
「ダイキが勝った」
チサちゃんの勝利宣言で、ボクはようやく脱力した。
「勝った!」
ボクとチサちゃんが、再び分離する。
真上から落ちてくるチサちゃんを、ボクは抱き留めた。
「勇者を倒したよ、チサちゃん!」
「ダイキ、すごい!」
しかし、喜んでばかりもいられない。
「そうだ、トシコさんを!」
とにかく、トシコさんの無事を確認しないと。
ボクたちが海底に戻ろうとする。
目の前に、ネウロータに肩を借りたトシコさんの姿が。
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