ケイスの獣化
蜂の巣にされるような勇者ではない。剣で軽々と受け止めてしまう。
これ以上トシコさんに近づけさせないように、ネウロータくんは攻撃の手を止めない。
「わたしたちも!」
「行こうチサちゃん!」
右サイドから、ボクたちが攻める。
ガードが開くタイミングで、三叉戟を打ち込む。
こちらの動きを読まれた。勇者はボクの戟をすり抜け、カウンターの切り払いを見舞う。
「うわっ!」
戟で防御する。助けに来たのに、足を引っ張っていた。ここまで強いなんて。
ネウロータくんも相当強いが、トシコさんが倒れているからか、思っている以上に力を出せないようだ。
「ケイス援護!」
「承知!」
マミちゃんも、戦闘モードへ。
「ネウロータ、はやくトシコの所へ!」
「お前らだけで平気か? 相手は勇者だぞ!」
「いいから! ケイス、【獣化】解禁!」
人間の姿だったケイスさんが、魔物へと変貌する。スフィンクスへと。
ボクが知っている、ピラミッドの横に座っているものではない。
頭は人間だけど、猛禽の前足と、ライオンの胴体を持っていた。
背中には、鉄でできた羽が生えている。
「伝説の魔獣、セイケリッド・スフィンクス」
「いかにも、ネウロータ様。ここはお任せを!」
「すまない!」
ネウロータくんをかばうように、マミちゃんとケイスさんが勇者エレクチオンに飛びかかった。
ガードを突き抜けるかのように、ケイスさんの爪が勇者の腕に食い込む。
ボクとチサちゃんは、後方から魔法を撃って二人を援護する。
ケイスさんのまともな格闘を始めて見たが、恐ろしく強い。こんな強い人と、いつか渡り合わないといけないのか。
またがっているマミちゃんも強かった。
本気になったマミちゃんは、ケイスさんに振り落とされることなく、勇者に格闘戦を挑む。
爪による左フックで、ケイスさんが勇者のノドを切り裂こうとする。かわされた瞬間、右アッパーへ切り替えた。
ケモノの拳が、勇者のアゴにめり込む。
コンビネーションに合わせ、マミちゃんがカカト落としを勇者に浴びせた。
両者の打撃をまともに食らい、さすがの勇者も怯んだ。
「チサ、ネウロータと交代!」
マミちゃんのアドバイスを受けて、チサちゃんもインファイトへ移行した。玉座から降りて、勇者に拳を叩き込む。
ボクも隙あらば、槍で突く。
勇者が背中の剣を抜いた。重そうなブローソードを、バトントワリングのように片手で回す。
ボクたちの一斉攻撃を、剣を回しただけでさばききってしまった。
「このお!」
マミちゃんが両手に鋼鉄のグローブを召還して、ガード役に回った。
勇者の斬攻撃を、パンチで引き受ける。
心強いが、貴重なダメージ役が削がれた。
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