海洋の勇者 エレクチオン
エレクチオン、かつて二層の海に平和をもたらしたという、伝説の勇者だ。
「あれが、勇者なの?」
「わたしたちが人々に危害を加える行動を取ると、倒しに現れる存在」
「どこから出てきたの?」
「イソギンチャクの残骸から。たぶん、キュラは勇者に操られていた」
チサちゃんは、そう推測する。
「倒されたら、どうなるの?」
「魔王本来の力を失う。セイのように」
セイさんは勇者に撃退されて、今の地位に落ちた。
あのセイさんが、敵わなかった相手。
「キュラちゃんを倒しに来たの?」
「分からない。でも、わたしには攻撃される心当たりはない。おそらく、狙いはキュラ」
まさか、キュラちゃんを倒そうとしているのか?
「お気を付け下さい、ダイキ様! 勇者の強さは魔王サマ方の比ではありません!」
セイさんが警戒するほどの強さか。
勇者の口が開く。幼さが見えつつも、不気味な笑みを浮かべた。軽く地を蹴って、まっすぐキュラちゃんに向かっていく。
「いけない、キュラ!」
セイさんが立ちはだかり、キュラちゃんをかばった。
ドレンの砲台に、魔力が収束されていく。ドレンの必殺技だ。
セイさんが引き金を引く。
勇者に、ドレンのエネルギー砲が直撃した。一瞬だけ、勇者の動きが止まる。
「あれだけ至近距離でセイさんの攻撃なんて喰らったら!」
「まだダメ!」と、チサちゃんは悲痛な叫びを上げた。
しかし、勇者は何事もなかったかのように白煙から飛び出でくる。
「無傷だって!?」
勇者がショルダータックルで、セイさんを突き飛ばす。
一瞬で、セイさんとドレンが気絶した。床に倒れ込む。
「セイさんすら寄せ付けないなんて!」
「パワー切れ。キュラの攻撃を止めたから、その分弱っていた。勇者が強すぎるワケじゃない」
そうチサちゃんはいう。
けど、それを差し引いても勇者はとんでもない存在だ。ボクはそう認識した。
「キュラちゃん、危ないから下がって!」
ボクはキュラちゃんに声をかける。
なぜか、キュラちゃんは抵抗しようとしない。
顔は青ざめている。
勇者によって、力を抜き取られてしまったのか?
それとも、全てを諦めてしまった?
海から来た勇者による断罪を、あの子は受け入れるつもりなのだろうか?
何も、彼女が悪いわけじゃないのに!
「キュラちゃん!」
とっさにトシコさんが駆けつけ、立ち尽くすキュラちゃんをかばった。
「あああああっ!」
トシコさんが、肩を斬られる。
「貴様!」
ネウロータくんが、斬られたトシコさんの元に駆けていく。
二丁拳銃を構えて、勇者に向けて乱射した。
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