激闘、海底神殿!
ベルガの案内で、海底神殿へ向かう。
入り口付近には石柱が立っており、お店らしき痕跡も残っている。建物は、ことごとく壊されていた。珊瑚や岩に埋もれている。
「神殿というよりかは、都市だね」
「本来、ワタシたちはみんなここに住んでいました。LOの襲撃があるまでは」
この階層のボスが、ベルガたちを街から追いだしてしまった。
「奥の施設が、海底神殿です。LOは、この最下層に」
石を積んでできた、台形の建物が見えてくる。
あれが、海底神殿らしい。
一見すると、美しい建物である。神を奉っていると言われても、容易に信用できた。今でも神が底に眠っていると言われても信じるだろう。
だが、数ある建物の中で、そこだけ異様に禍々しい。
LOの強大な魔力で、地形が変形してしまっている。ここにまで、LOの殺気が絡みつく。
この美しい光景ですら、獲物を誘い出すブラフに見える。
「行くよ、チサちゃん」
けれども、行くしかないんだ。
海の平和は、ボクたちに掛かっているから。
「ここから先は、何が出てきてもおかしくない」
「気をつけよう、チサちゃん」
ボクは三叉戟を掴む。
「侵入者だ! であえであえ!」
ハンマーヘッドシャークの頭をした半漁人が、ミサイルのように飛んできた。
「そんな攻撃なんて!」
とっさに頭突きをかわす。
カウンターで一体倒した。
残りは二体。
ターンして、半漁人がまた頭突きを繰り出す。次は回転を加えながら。
「そう何度も……うわ!」
回転する気流に挟まれ、ボクは上下感覚を失う。乾燥機に入った洗濯物の気分だ。
あの平たい頭は、モーターの役割も果たしているのか。
「ミンチにして、海にバラまいてやるぜぇ!」
ハンマーヘッドが再度ターンし、身動きが取れないボクに接近する。
「ダイキ、回転したまま雷撃発動」
「ヨシ!」
チサちゃんの指示を受けて、武器に雷を纏わせた。
回転には回転だ。ボクは逆方向に槍を旋回させる。
いける、バランスが戻った。
急停止しようとしたハンマーヘッドたちを、槍で切り裂く。
「まだまだ来るよ!」
オンコの言うとおり、ハンマーヘッドの群れは次々とやってきた。
「待て待てーい!」
立ち往生するボクたちに、思わぬ助っ人が。
「我こそはビントバー・ビヨンド・ザ・リヴァイアサン、第二層の平和を守るため、ただいま参上した! 小さいながらも侮るなかれよ!」
「ヌシ様!」
現れたのは、ビントバーのヌシ様だ。両手から雷を放って、ハンマーヘッドたちを撃ち落とす。
「ココは我らに任せて、先を急ぎなされ!」
「ありがとうございます、ヌシ様」
ヌシ様の隣に、ベルガが並ぶ。
「お父様、加勢いたします」
「よい! お主は道案内という重大な役目あり! 先へ急ぎなさい!」
「でも!」
「心配するな! 我はお主の父親なり!」
逡巡していたベルガも、最後は父の顔を立てた。
「……はい!」
ベルガは意を決し、海底神殿の内部へとボクたちを誘導する。
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