第六章 海底神殿のボスとは?

いざ行かん、海底神殿!

「チサ……本当にそれでいいの? あなた一人で解決できる問題じゃないのよ?」


「ここで親の手を借りたら、わたしは自力で王になる資格がなくなる気がする。これは、わたしに与えられた試練。わたしが解決すべき問題」


 あくまでも、自分のことと捉えているようだ。


「ボクも同じ意見です、ロイリさん、亜神さん、お二方の好意はうれしいのですが、甘えるわけには」


『そうか。そこまで言うなら、手助けしない。それでいいか?』


「ありがとうございます」


 話がまとまりそうな所で、亜神が付け加える。


『ただ、本当にダメだと思ったときは手を貸す。それでよろしいか?』



「構いません。よろしくお願いします。でも、どうして?」

『子を心配せん親はおらん。今回のケースは、ホンマにあかんのや』


 どうやら、神でさえ把握できない問題が生じたようだ。



「とにかく、お気を付けて。我々も、早急に原因を突き止めます。それでは」

 ロイリさんが、去って行く。


「ダイキ、ごめんなさい。ワガママを言って」


「ボクはチサちゃんの意見に賛成だ。自分のことだもんね。これは、チサちゃんの、だけじゃない。ボクたちのワガママだ」


 でも、パーティのみんなにまで責任を押しつけるつもりはなかった。


「エィハス、ここから先は危険だ。みんなは外で待ってた方が」


「何を言うか。ここまで来たんだ。ついて行くぞ」

 武装し直して、エィハスは帰ろうとしない。


「オンコも、同じ意見?」


「もち。海底神殿のお宝を拝まずに帰れるかっての」

 上腕を撫でて、オンコは力こぶを作る。できていないけど。


「二人を説得してよ、ゼーゼマン」


「今日ほど、仲間の絆を感じたことはないのである。早く行くのである」

 危機的状況には極力立ち入ろうとしないゼーゼマンまで。


「ダイキさん、これはもう、あなた方個人の問題ではないのです。第二層全体、いや、この世界全体の問題なのです。我々が一人一人取り組まねば、全滅も不可避かと」

 神妙な面持ちで、ベルガが告げる。


「分かった。でも、危なくなったら全力で逃げて! お願いだから」


 もう、みんなまでカバーすることはできない。ボクはハッキリと告げた。


「もとより、覚悟の上」


 息巻くゼーゼマンに続き、オンコが自分の顔を叩く。


「やったろうじゃんっての! ビビっても前に進めないからさ!」


「魔王もダイキも、命の恩人だ。今こそ恩に報いるとき!」

 装備を確認し、エィハスも行く先を見据えた。


「ダイキ、わたしたちは素敵な仲間を持った」

「そうだね。みんな、ありがとう!」


 じゃあ行こう。海底神殿へ。

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