クパァ撃破!
水中でボクの突きを喰らい、数体の巨大クラゲが、ボンと音を立てて爆ぜた。
クラゲまみれの壁に、スキマができる。
「次は、電撃攻撃」
「サンダー・ストーム!」
ボクは熊手を旋回させて、海中で雷をおこす。
熊手の先端から、雷撃がムチのように放出された。
雷を壁のスキマへ誘導するように、熊手を差し込む。
傘を突き抜け、電撃はクラゲの大群を貫く。
「いかん、ファランクスモード!」
クラゲたちが、中央にいる黒いクラゲを取り囲む。
密集した陣形、いわゆるファランクスの状態になった。
しかも、球状になって触手だけ出している。
「これなら、どんな攻撃が来ようと!」
「もう一発、サンダーストーム!」
雷のムチを再度放出し、突破口を開こうとした。
だが、鉄壁の壁が再生し、中央のクラゲにまでは届かない。
絶対防御に回る相手が、こんなに手強いなんて。
ボクが防御を得意とするから、分からなかった。
「これぞ、クラーケン・パーフェクト・ファランクスたる所以よ! 鉄壁の防御は貫けまい!」
クパァが勝ち誇る。
不甲斐ない。せっかく、新装備まで作ってもらったのに。
「まだです!」
参戦したのは、ベルガたちだ。
ボクたちのパーティ全員が、サメの背中に乗っている。
かの字たちの背後には、無数のサメが。
「皆さん、お力を貸して下さい。シャーク・トルネードッ」
サメや小魚の大群が、一斉にクラゲたちを咬みちぎり始めた。
ベルガは魚を操る力があるようだ。
「ぬおお、捕食する側が、捕食されるとは!」
クラゲの防御を破られ、黒いクラゲが退散しようとする。
「今です!」
「うおおお! 黒龍拳・全開!」
ボクはスピードを限界まで上げて、黒いクラゲに肉薄した。
「ちい!」
クラゲLOも、黒い触手で応戦する。
全身に黒龍ルチャのウロコを展開して、触手に対応した。
黒龍拳と新装備のおかげで、触手だって怖くない。
必要最小限の動きで、触手を退ける。
「当たらぬ!?」
「黒龍拳・スパイラル!」
電撃を帯びた熊手で、黒クラゲの傘を突き刺した。
「ぐおおお! おのれ魔王! だが、我が主は倒せぬ! 最強のLOである主はぁ!」
「お前の親玉は何者だ!」
「自身の目で確認するがいい! ぐほおお!」
クラゲが大きく跳ね上がって、消滅する。
これだけの力を持つ階層ボスって、いったい何者なんだ?
「ダイキ……」
「はあ、はあ、強かったね」
「クラーケン、まずい」
クラゲをかじって、チサちゃんが苦い顔をした。
「これじゃあ、メニューに載せられない」
新メニューを考えていたのか。
「あきらめよう。おいしくないのは、チサちゃんのせいじゃないから」
名残惜しそうに、チサちゃんはクラゲの欠片をペッと吐き出す。
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