マミちゃんとの友情

「遊びに来たわ!」

 マミちゃんとケイスさんも、お寿司を楽しんでいる。

 ちゃんと並んで。


 席に着くなり、マミちゃんは大量にいなり寿司を取りまくった。


「さすがね! アタシの目に狂いはなかったわ!」

 いなり寿司を、マミちゃんは気に入ったみたい。


「ネウロータの所みたいに


「このガリというお漬物ですが、珍妙な味がしますな。口の中がスースーします」

 ケイスさんはガリを食べつつ、海苔巻きのカンピョウだけもらっている。


「もっとあるのでどうぞ」

 ボクは生魚のネタをオススメした。


 お皿に載ったサーモンを、マミちゃんは二貫一気に食べる。


「これいいわね。フェイバリットにするわ!」


 他の子どもたち同様に、マミちゃんはサーモンを気に入っていた。


「ネウロータの店と違って、すぐネタが来るって最高ね!」


 そういえば、流しそうめんをする前に、偵察しに行ったって話を聞いたっけ。


「お行儀よく座ることを強要されて、退屈なのよ! ネタもすぐ出てこないし、から揚げなんてなかったわ!」


 あっちは本格的らしいからね。


「その点、ここは子どももおいしく食べられるネタが多くて好きよ! 通い詰めたいくらいだわ!」



 ボクは、「だってさ」と、カウンターの向こうで寿司を握るエィハスに声をかけた。



 うれしそうに、エィハスはマミちゃんに会釈する。 



「よくやったわチサ。これで三層行きのチケットはもらったわね!」

 

 マミちゃんとチサちゃんが、拳を軽くぶつけ合う。


「ありがと。マミのおそうめんもおいしいから、また遊びに行く」

「ぜひ来て! 楽しみにしているわ!」


 けれど、チサちゃんの心配げな表情を、マミちゃんは見過ごさなかった。


「何かあったのね、チサ! 話してみなさい!」


 ここまで、心配してくれているんだ。甘えていいところだと思う。


「チサちゃん、相談してみよう。マミちゃんなら、悪いようにはしないと思うよ」

 


「実は……」

 チサちゃんが事情を説明する。


「なんて失礼なヤツなの? そいつ探し出して、とっちめてやるわ!」

 まるで自分のことのように怒りだして、マミちゃんは拳を叩く。

「そんなことしないで。何か理由があったんだと思う」


「理由なんてどうでもいいわ! 何が気に入らないってのよ!」


 ケイスさんが「まあまあ」と、マミちゃんをなだめた。


「落ち着いてください、マミ様。我々の元にも、珍客がいらしたではありませんか」


「ああ、あのガキ?」


 白髪ロングの女の子が、ながしそうめん会場に来たという。

 マミちゃんのイベントを褒めた後、「でも、お兄ちゃんの方がおいしい」と言い残していったらしい。


 ボクたちと、同じシチュエーションだね。


「誰だろう?」


「分からない。けど、魔王候補っぽいのは確か」


 魔王候補たちは、自分たちの国を発展させるため、他の魔王が支配する国へ偵察に来ることがある。

 マミちゃんが最たるものだ。


 けれど、あの魔王候補の子には、そんな印象がない。

 何かを確認するために来た、という風に見えた。

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