誰も三層に行けないって!?
「話しぶりから、お兄さんがいるんだろうね」
なにかにつけて、自分の兄と他の魔王を比べているみたいだったけど。
「どうでもいいわ! 次は出禁にしてやるんだから!」
「マミ様、そこまでなさらなくても。少なくとも、我々の催しを楽しんでらしたようです。無碍に扱うのは」
「あなたは口を挟まないで、ケイス! アタシが気に入らないっていうんだから、気に入らないの!」
「あへえ」
また、マミちゃんとケイスさんの夫婦漫才が始まっちゃったなぁ。
「実際、妙なことが起きているのは確かなの!」
「何が起きているの?」
「誰も三層へ行けないの! 海のカードが、例の大型LOに奪われているの!」
大変じゃないか。
「マミちゃんは大丈夫だったの?」
「アタシは、そんなヘマしないわ! ケイスが強いから寄ってこないんでしょうね!」
ケイスさんは、やはり只者ではないらしい。
実際、セイさんの元玉座であるドレンさえ倒した経験を持つ。
あの時はドレンにやる気がなかった状態とはいえ、あれだけの強さを持つモンスターに勝つこと自体、すごいことだ。
「いいえ私など。マミ様の強さに比べれば」
ケイスさんは謙遜する。
「当たり前じゃない! 玉座より弱い王様がどこにいるのよ!」
「んほぉ」
マミちゃんが、カッパ巻きを食べていたケイスさんの脇腹を軽く蹴った。しかし、ケイスさんはうれしそうに受け入れる。
「そういえば、ネウロータはこっちに来てない?」
「いや、来てないけど?」
ボクが答えると、マミちゃんがアゴに手を当てて、考え込む。
「ネウロータくんが、どうかしたの?」
「様子が変だったのよ!」
興奮したマミちゃんが、テーブルをドンと拳で軽く叩く。
「この前、ネウロータのお店へ、二度目の偵察へ行ったの!」
「厳密には、流しそうめんのイベント後です」と、ケイスさんが補足説明をする。
「あいつに例のゴスロリ幼女の話をしたら、血相を変えて出て行っちゃったのよ! 店をほっぽり出して! アタシたちを置いてよ! ヒドくない?」
マミちゃんが憤慨する。
「まあ、お店のお寿司をすべて食べてしまったのですが」
「いいじゃない! 店員はいたし、ちゃんとお金も払ったんだから!」
さも当然だという風に、マミちゃんは主張した。
「どこへ行ったか分かる?」
「分からないわ! こっちにも来てないみたいだし! イヤな予感がするわ! まあ、アンタたちなら大丈夫だろうけど!」
百戦錬磨のマミちゃんでも警戒する、緊急事態が起きているらしい。
「気をつけておくよ。忠告ありがとうマミちゃん」
「ダイキもしっかりね!」
マミちゃんが帰って行く。
◇ * ◇ * ◇ * ◇
けれど帰宅後、ボクたちは課題未達成を言い渡された。
「どうして?」
「クラーケンタイプのLOが出たと」
LOの襲撃によって、海産物が獲れなくなってしまったらしい。
「チサちゃん、これは」
「出撃の準備」
三層クリアより、まず生活の確保だ!
「その意気でございます。実は、装備が完成したと先ほどご連絡が」
じゃあ、明日はゴマトマだね。
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