マミちゃん御殿

「レーンを回したいんだけど、動力が見つからなくて」

「困りましたね。我が要塞ビントバーも、父の魔力で動いているとしか」


 ここもか。ボクたちの調査は、空振りに終わった。



「でも、手動がダメなら、何を動力にするつもりなのさ?」

「魔法しかないよね」

「鉄は魔力を通しづらいよ。ダイキの提案だと、鉄を結構使うし」


 何かないか。起死回生のアイデアは。


「ここで立っていても、何も変わらない。もっと色々巡って、アイデアを探す」


 よし、アイデア探しに探検だ。


「せっかくだし、他の魔王が何をしているのか、探索する」

「賛成だ」


 後手に回ることになるが、先人が何をしているのか分かれば、新しいアイデアが湧くかも。


「行くところと行ったら」

「マミの世界しかない」

 

 はじめて、マミちゃんの世界にお邪魔することが決定した。



       ◇ * ◇ * ◇ * ◇



 マミちゃんの世界に、初めてお邪魔する。



「凄く暑いね」


 まず、ボクたちを出迎えてくれたのは、熱波だった。

 ボクの着ぐるみは体温調節できるからいい。

 チサちゃんも魔法でどうにかなる。

 

 けれど、普通の人は汗ばみながら歩いていた。



 黄色いレンガを積んでできた家が建ち並ぶ。


 市場では、食料品や装飾品が売られていた。どれも質が高い。


 頭にターバンを巻いた人が、かめを頭に乗せながら歩いている。中身は果物だ。


 砂漠の街だと聞いたけど、確かに一面は砂に覆われている。

 

 だが、反対にはジャングルが。

 それなりに街とは離れているが、こんな近くにジャングルなんて。

 動物が襲ってこないのだろうか?


「見て、チサちゃん。トラだ。モンスターかな?」


 トラが、ボクたちに向かって吠えた。

 だが、襲ってくる気配はない。すぐに立ち去っていく。

 少し遠い位置にいるからか?


 街の人も、トラを気に掛けている様子はない。


「アレは野生動物。こちらが敵意を見せなかったから、スルーしていった」 


 南側には海のリゾート地ができあがっていた。 

 ムッとした南風が、猛烈に吹いている。


 いかにも夏という気候といえるが、さすがに暑い。



「あれが、マミちゃんの住む宮殿かな?」


 古代エジプト調の宮殿が、オアシスの中心にそびえ立っている。

 いわゆる「ムガル建築」っていうのかな?

 タマネギ状の丸みを帯びた屋根が特徴的だ。


 アーチを抜けて、宮殿内部へ。


「ヨーコソー」

 露出度の高い女性たちが、門の前で出迎えてくれた。


「あの、マミニムちゃんに、会いに来ました」

「オマチシテイマス」


 女性たちは、ボクたちを案内してくれる。

 事情を知っているみたいだ。

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