お寿司は完成!

 レーンはゴマトマのドワーフさんが作れるかと思う。仕組みさえ分かっていれば。歯車があったから大丈夫かも。


 この世界って電気があるのかな。レーンが使えるかどうか。


「回転寿司ってね、動く床板にお皿を乗せて運んでるんだけど、床板を動かす方法ってないかな?」


 聞いてみたけど、チサちゃんは首をかしげるのみ。実物を知らないから、無理もないか。


 どうしよう、早くも暗礁に乗り上げたぞ。


「一度、街を見てみるといいかも」

「物件も探さないと、だね」

「そのとおり。行こうダイキ」



    ◇ * ◇ * ◇ * ◇



「それで、私たちも駆り出されたのか」


 エィハスたちにも、協力を仰いだ。


「飲食店経営だからね。エィハスのサポートは必須でしょ」


 オンコにも、お願いをしている。


 ちなみに、ゼーゼマンには「ガリ」と「ワサビ」の開発してもらった。

 食中毒対策だね。

 いくら新鮮な魚を使っていても、衛生面は気をつけないと。

 お酢としょう油はあるから、問題ない。


「物件に関しては任せてよ。いいところを知っているから」

「助かる。ひとまず私たちは、寿司作りだな」


 エィハス一家には、簡単な作り方を教えてある。

 魚に慣れている人たちでよかった。


「チサ、ネタは何がいい?」


「サーモン!」

 バンザイしながら、チサちゃんがネタを叫ぶ。


「ボクは、マグロの赤身をください」


 本当なら、ボクもサーモンが食べたい。

 だけど、まずは味見から。


「あいよ」

 チサちゃんのリクエストに、エィハスはこたえる。


 一度、エィハスたちが作った寿司を味見させてもらう。

 ネタは、オーソドックスな赤身だ。


「どうだ?」


 口に入れた途端、すぐに身とシャリがほぐれた。

 複雑に口の中で具材が絡み合う。


「うまい! ほんとにおいしいよ!」

「ありがとう。客の満足した顔は、料理人の誇りだからな」


 ボクたちの賞賛に、エィハス一家も満足そうだ。


 店員候補も、何人かズースミックに知り合いがいる。

 そこからよこしてくれるらしい。

 人員は確保できた。


        ◇ * ◇ * ◇ * ◇


 数日後、ビントバーの商業ギルドに話を付けて、内部の改装もできあがっているという。


 ボクたちは、店にお邪魔させてもらった。


「うわあ、もう完成と行ってもいいんじゃないかな?」


「そんな、気が早いってば、ダイキ」

 オンコが、手を振って苦笑する。



「でも、限りなくボクの理想に近いよ」

「気に入ってもらえた?」

「バッチリだ!」 


 和モダンな食器類などは揃った。高級なお寿司屋さんを営むなら、すぐにでも始められる。


「あとはコンベアの動力だけだな」


 そこが一番の問題だった。

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