ビントバー・ビヨンド・ザ・リヴァイアサン、通称『ビンビン』
ボクはあまりのおいしさに、涙ぐんでいる。
「そこまで恋しかった?」
「うん。エヒメは最近、海苔が不作で。こんなに沢山海苔が食べられるなんて、幸せだ」
故郷の味ではないけれど、海苔と言うだけでゴハンが進む。
この街を、守ろう。ボクは、そう固く決意した。
「ところで、この街が抱えている問題とは?」
本来、この話をするつもりで、ボクたちは招かれたのだ。
「我々の本拠地である海底神殿を、LOから奪還していただきたいのです」
ヌシ様の住んでいた場所は、もっと遠い島にある、海底神殿だという。数年前、そこを大型のLOに占拠されてしまったらしい。
「神殿を追われた住民たちを連れて、この水上要塞で逃げ出しました。そこで商売を始め、ようやくまともな暮らしをしてきました。ワタクシがこの街を守りながら」
「あなたが、ですか?」
「実はワタクシ、本来はもっと巨大な存在なのです」
それこそ、この要塞を守れるくらいだったという。信じられないが。
「若い頃のワタクシは、それこそ海の王リヴァイアサンを超えし存在、『ビントバー・ビヨンド・ザ・リヴァイアサン』、通称『ビンビン』と称されていたものです」
えらく卑猥な二つ名だなぁ。
「すごい」
ワクワク顔で、チサちゃんが話に飛びつく。
「ですが、その力すら、LOとの闘いで奪われてしまいました。今ではご覧の通り」
「かわいそう」
神殿だけでは飽き足らず、LOはこの要塞も乗っ取ろうとしているのだとか。
「お願いです。LOから、海底神殿を取り戻してください」
「ワタシからも、お願いします」
ヌシ様とベルガさん、両名から頭を下げられる。
「引き受ける」
チサちゃんが、それに応えないわけないよね。
「ありがとうございます!」
「待った、チサちゃん!」
物言いを付けてきたのは、オンコだ。
「どうしたの? 何か問題があるかな?」
「大ありだよ! その格好で行くつもり?」
意外な言葉に、ボクもチサちゃんも困惑した。
「ダイキさぁ、LO相手に負けそうだったって聞いたよ! 大丈夫じゃないじゃん!」
「たしかに、ダイキはLOと戦ったとき、黒龍拳をかわされた」
言われてみれば。ボクはこれまで、この着ぐるみで戦ってきた。しかし、この装備は水を吸う。陸上ならこれでいいが、水中で戦うには難しい。
「素材さえ用意してくれたら、ウチで新しい装備を作成するよ」
「ありがとうございます。海底仕様の装備があれば、ダイキ様の力も遺憾なく発揮されるでしょう!」
そうと決まれば、次の目的地はゴマトマ国だ。
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