花火と次なる課題

「こうやって、国が豊かになっていくんだね」


「わたしも、うんとおいしいモノにありつける。みんなにも」

 チサちゃんはニコニコ顔でバーベキューを堪能する。


「夜はこれからです。食後はこちらでお楽しみ下さい」


 セイさんが持ってきたのは、花火セットだ。


 海と言えば花火だよね。


「花火!」

「色とりどりのモノをご用意しております」


 ボクたちは、花火に火を付ける。


「おおっ」

 勢いよく吹き出す花火を見て、チサちゃんが驚いた。


「キレイ」

「そうだねー」


 はしゃぐチサちゃんを後ろで見守りつつ、一緒になって花火を楽しむ。


 最もテンションが高いのはオンコであり、指の間に何本も花火を挟んで振り回した。


 意外にも、エィハスは虚空に絵を書いて楽しんでいる。


「以外と乙女だね、エィハス」


「う、うるさい!」

 茶化すオンコに向かって、エィハスがむくれた。


「この火薬は、何かに使えそうなのである」

 ゼーゼマンは、せっかくの花火を分解して、成分を分析している。ここまでくると、職業病だね。


「ありがとうございます、セイさん。チサちゃんもこんなに楽しそうです」



「いいえ。ワタクシは、チサ様に課題の指示をお持ちしたまでして」



 またしても、亜神さんから通知が来たらしい。




『海のヌシを釣り上げろ! レッツ・フィッシング!』




 プリントにはそう書いてある。やけにテンションが高い。


「海を手に入れたモノには海のヌシを、山のカードを手にしたモノには、巨大池に住むヌシをゲットせよとのことです」


 どちらも、一筋縄ではいかなそうだ。


「明日に、ヌシ釣り大会があるそうです」



「ヌシ! 見てみたい」

 一瞬で、チサちゃんが釣りモードに変わる。



「海のヌシかー。この先にある岩場で釣れるそうだね」

「ホント、オンコ」

「うん。アタシくらいの魚が釣れたそうだよ。可能性があるとしたら、あっちかな?」


 海岸の先にある岩場に行けば、主が釣れるかも知れないらしい。それにしても、オンコくらい大きい魚なんて。


「ダイキ、明日に備えて今日はもうおやすみする」


 誰に言われるでもなく、チサちゃんは片付けを始めた。エライね。


 セイさんやメイドさんたちも、慌てて後始末をする。


「アタシ達も手伝うよ」


 オンコたちも協力してくれて、一瞬で料理セットが片付いた。




「今日は楽しかった。またやる」

「約束だよー、チサッチー」

 オンコが、チサちゃんのホッペを優しくコネコネする。

「うーん、名残惜しいけど、今日はお開き。じゃあまたねー」



 オンコたちとは、そのまま解散に。

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