バーベキューと、ネウロータくん版ポージュース

「皆さん、食事をお持ちしました」


 海岸に、ビキニ姿のセイさんが現れた。このメンバーの中でもっとも過激な格好をしている。

 ハイレグヒモビキニ、という世間でもグラビアでしかお目にかかれない出で立ちだ。

 めったに笑顔を見せないクールな表情に、きわどいファッションのギャップが。


 他のメイドさんたちも、統一されたビキニを着ていた。

 広い砂浜に、焚き火台と薪を設置をする。

 手際よく、薪に火を付けた。


「わー、バーベキューじゃん!」

 オンコが、待ち遠しげに炭おこしを眺めている。


「実は、ネウロータ様より、バーベキューセットをいただきまして」


 見事なまでに魚介、魚介、肉、魚介だ。

 肉と野菜を串に刺して、タレを付けて焼き上げていく。


「できたよ。チサちゃん」

「ありがと。いただきます」


 ボクの膝に乗っているチサちゃんが、ボクから串を受け取った。歯ごたえのある肉を、大きい口で頬張る。


「おいひい」

 野菜も残さず、串焼きを食べ終えた。


「ダイキもどうぞ」


 チサちゃんから串を受け取って、ボクも食事を取る。


 これは最高だ。タレ以外に下味が何もついてないのに、お肉がジューシーである。


 貝も、トシコさんに教わった食べ方でいただいてみた。

 うん、海水を捨てて食べるとクドくない。魚介の旨味が引き立っている。


「白い米まであるぞ。気が利いているな」

 まるで日本人みたいなコトを、エィハスが言う。



 たしかにボクもうれしいけど。

 お米と肉の組み合わせは、最高の贅沢だよね。



「野菜まで豊富なのである」

 エルフのゼーゼマンは、肉は少量しか食べていない。トウモロコシとカボチャ、椎茸をつまむ。種族的にお肉が入らないんじゃなくて、椎茸がお酒に合うからだろう。オトナだ。


「すごい。本格的ですね、セイさん」

「ポージュースのお礼だそうで」


 バトルの直後、ボクたちは一通りカードを交換した。中には、ポージュースの製造方法も含まれている。レシピをあげただけで、作るのは向こうでやってもらうけど。


「火の粉が飛んでるのに、熱くないのかな?」

「ご心配なく。我々は魔族です。この程度の炎など、魔法で回避できます」


 確かに、みんな熱そうにしていない。


「あちらの世界で、マンゴー味のポージュースをお作りになったそうで」


 ドリンクに、ネウロータくんの作ったポージュースをもらう。ボクたちのジュースより、やや黄色が強い。


「ん、すごいおいしい!」

「ココナッツの味もする!」


 あちらの世界では、ココナッツも薬草の類いに含まれるらしい。様々なフルーツを掛け合わせ、向こうなりのポーションジュースを作り上げたという。

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