海のカードをゲット!

「気を落とさないでね! アンタたちの腕はホンモノよ! 年配の人を審査員にしていたら、あなたたちの圧勝だったでしょう。でもね、アタシがこの子たちを呼んだのは、『他の魔王たち』のことも見て欲しかったからなの! 決して嫌がらせをしたかったからじゃないんだから!」


 言うとおり、マミちゃんの人選は、ボクたちにとっても難しかった。マミちゃんの意図を理解していたのは、この中でチサちゃんだけだ。


「ネウロータくん、負けを認めましょ」


 ゴネるネウロータくんとは対照的に、トシコさんはあっさりと敗北宣言をする。


「どうしてさ? 自分の料理が評価されなかったんだよ? 悔しくないの?」


「そりゃあ、悔しいわ。けど、大事なことにも気づかされたわ」

 トシコさんは、ボクたちの方を向いた。


「だって、お料理を作っているときの二人、楽しそうだったんだもん」



 意外な言葉に、チサちゃんも驚いた表情を浮かべている。



「ボクたち、そんな感じでしたか?」

「ええ、とても仲が良さそうで。あんな風に、協力してお料理するのも、楽しそうだなーと」


 言われてみれば、トシコさんたちは終始別行動をしていた。

 その方が効率がいいから。

 

 でも、違うんだ。


 一緒に作るって工程を楽しむことこそ、魔王と玉座の関係をより強固にするというわけか。


「というわけで、勝者はチサ・ダイキチームよ!」



 子どもたちから、拍手で祝福される。



「ぬぬう。悔しいが、お前の勝ちを認めてやる!」


 海のカードをもらった。



 でも、チサちゃんは突き返す。


「複製でいい」

「え、コピー品でいいのか?」


「構わない。ネウロータも、これで条件は同じ」


 チサちゃんは、海のカードを複製して、ネウロータくんに返す。



「いいのか? 複製カードだと、LOが強くなるぞ。それでもいいってのか?」



 海や山などの領域カードは、手に入れただけでは完全に自分の領地にならない。


 LOを倒さなければ。


 それも、複製版では恐ろしく強くなるらしい。



「海は自由にできる。でも、海を支配しているLOを倒さないと、次に行けない」

「ダイキがいるから、負けない」


「後になって、『やっぱり勝てないからオリジナルをくれ』って言ってきても、あげないからな!」


 顔を真っ赤にしながら、ネウロータくんはワーワーと怒鳴った。



「それでいい。あと、もう一つ要望が」


「まだ、何かあったか?」



「家来になるとかなんとか」


 チサちゃんが告げると、ネウロータくんはウンウンとうなずく。


「そういえば、そんな約束したな。よし。ボクは負けたんだ。お前の言うこと、なんでも聞こうじゃないか」



 

「家来とかはいい。友だちがいい」

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