玉座同士の対決に

「チサ・ス・ギル、いつもはどうやって決着を付けるんだ?」

「お砂遊び」


「ジオラマごっこかー。まだあんな遊びをやってるのか」

 グデーッと、ネウロータくんは伸びをした。


「気に入らない?」


「めんどくさいんだよなー、あれ。自分だけで戦えないし。戦略も必要だし」


「お砂遊びは、それが醍醐味」

「ぼくはパスだな」



 うーん? 断られたぞ。

 勝負形式は、こっちで決めていいはずなのに。


 でも、チサちゃんは気にしない。


 ほかにもチサちゃんは、お絵かき勝負やかけっこなど、昔ながらの勝負を提案する。



 ネウロータくんは勝負に消極的だ。現代っ子なのかな。


「あれやろうぜ、魔リカーは?」


 ネウロータくんが、ゲーム機を用意する。


「やったことない」


「魔リカーもやったことないって、なんだよ。原始人か? ママからゲーム機もスマホも買ってもらったことないクチか?」


「スマホはある。でもゲームアプリは軒並み入れてない」


「課金ゲーは?」


「課金ってなに?」


 ゲームには多少触れたことはあるけど、チサちゃんは電子機器を使ったせわしいゲームより、じっくり解くアナログゲームの方が好きみたい。



「めんどい。帰った帰った」


 結局、ネウロータくんはボクたちに背を向けて寝てしまった。


「せっかくお友だちが遊びに来てるのに、そんな態度を取るの? ネウロータくん」

 スネてしまったネウロータを、トシコさんが説得に入る。


「友だちじゃない! ぼくたちは敵同士だそ! 馴れ合いなんて!」

「素直じゃないわねえ」

 トシコさんはなだめるが、ネウロータくんは戦おうとしない。


 これでは、来た意味がないんだけど。

 お土産を食べてもらっただけじゃないか。


「あはは、どうしましょう?」

 笑って、トシコさんは困り顔になる。


「いつもこうなんですか?」

「違うの。チサ様が女の子だからかも」


 ネウロータくんが本気を出すのは、相手が男の子なときだけらしい。女の子の魔王が相手だと、どう接していいか分からず、対戦を拒否するんだとか。


「男の子が来たときはちゃんとお砂で遊ぶもんねー」


「バ、バラすな!」

 顔を赤くしながら、ネウロータくんが吠える。


「わたしたちは、海のカードを取得しに来た。そのためには、魔王と戦う必要がある。対戦して欲しい。ケガを気遣ってくれているのは雰囲気で分かる。でも遠慮は無用」


「ぼ、ぼくはそんなことひと言も言ってないぞ!」

 顔に書いてるよ。


「よーしわかった! 勝負してやる!」

 チサちゃんを指さし、ネウロータくんは起き上がった。


「ただし、戦うのはトシコ姉さんだ! 玉座同士で対戦しろ! お前んとこの玉座がトシコさんに勝ったら、海を渡してやる!」


 なんと、ボクとトシコさんが戦うことになってしまったらしい。

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