勝負形式、決定!
「わたしは、戦わなくていい?」
「それくらいのハンデはつけてやる。お前は玉座がやられるところを黙って見ていろ」
「ホントのホントに?」
「何度も言わせるな。決定事項だ。こちらに決定権があるって、お前が言ったんだぞ」
よほど自信があるのか、ネウロータくんは不敵に笑った。
「ダイキは、それでいい?」
「ボクは、全力を尽くすだけだよ」
女性の魔王とは、何度も対決している。手加減は考えていない。
相手だって、その腹づもりなんだと思う。だからこんな大戦形式をふっかけてきたんだろうし。
「どうなんだ。勝負を受けるのか? 何もせずに帰るのか?」
「受けて立つ」
「決まりだ」
話し合いの結果、ボクとトシコさんの勝負が決まった。
「いいんですか?」
トシコさんの意見を聞かず、一方的に決まったが。
ボクのいた世界だと、セクハラになるよ。
「いいんです。慣れていますから」
オホホ、トシコさんはなんでもないように笑う。
「女の子が相手だと、いつもこうなんです」
魔王が女子の時に限って、玉座であるトシコさんが対処するそうだ。
「でも、お強いんでしょう?」
「それなりには」
二層まで生き残っているんだ。これまで、数々の玉座を倒してきたのだろう。主であるネウロータくんに代わり、海のカードを守ってきた強者と見ていい。
ボクと同じ日本から来たんだ。レベルも同じくらいか、それ以上かも。
「で、ネウロータ。何で戦う?」
「そうだな……」
ネウロータくんが考えていると、二人の魔王がお腹を鳴らす。
「あらあら、朝はちゃんと食べたのに。緊張しちゃったのね」
トシコさんが、ネウロータくんの髪を撫でながら優しく声をかける。
「ううううるさい! クッキーを食べて胃が活性化しただけだ!」
苦しい言い訳を、ネウロータくんが言う。
「ダイキ、わたしもおなかすいた。クッキーを見たらわたしも食べたくてガマンの限界だった」
食いしん坊のチサちゃんが、あんなおいしそうな食べっぷりを見て耐えられるわけがなかった。
「勝負はごはんの後でいい?」
「チサ様のいうとおりです。今日はお客様なんです。ごちそうしますわ。ダイキ様、勝負はお食事の後になさいません?」
「はい。ボクもお手伝いします」
チサちゃんが、「わたしも」っと両手を挙げる。
「あらあら。お客様の手を患わせるなんて、悪いですわ」
「構いませんよ。押しかけちゃったのは、こちらですし」
話が決まりかけた途端、ネウロータくんが立ち上がる。
「決めた! 勝負は料理対決だ!」
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