今度の玉座は、女の子!?

「ところでマミ、海のカードを持っている魔王って知らない?」


「うーん……いるわ! この辺りでだったら、あいつでしょうね? ネウロータ!」


 手を叩いてから、マミちゃんが指を一本立てる。


「マミちゃん、ネウロータって誰?」

「ラミア族として産まれた、男子の魔王よ!」

「魔王って、男子もいたんだ」

「そりゃあそうよ! 遭遇する割合は低いけど!」


 マミちゃんが手に入れた海のカード所持者も、男子だったらしい。


「つい最近、玉座を手に入れたって! 魔王に成り立てよ! めちゃ強くて、海も最初に手に入れたわ!」


 ここまで聞いて、ボクはひとつの疑問が浮かぶ。


「ちょっと待って。じゃ、最初に海のカードを持っている相手って、どんな魔王なの?」


 チサちゃんたち魔王は、ほぼ同時期に領土集めをスタートさせている。最初に海を持っている人物がいるはずだ。


「魔王は、最初から『山』か『海』のどちらかを持つか選ぶの! あたしとチサは『山』を選んだわ!」


 つまり、ネウロータという魔王は『山』と『海』を両方揃えたというワケか。


「誰もネウロータに勝てないの! 知っていたら、あたしも勝負をしに行っていたわ!」


「みすみす、勝てない賭けに出ることもないでしょう」

「あんたが一番弱い魔王を狙おうって言ったんじゃない! 黙ってて!」


「ぬふぅ!」




 さらに教わったことは、ボクにとって寝耳に水だった。




「面白い情報があるわ。そいつの玉座は女の子だそうよ! めっちゃカワイイって噂だわ! でも残念ね! ネウロータの嫁だから!」



 魔王が男子だと、玉座は女子になるらしい。




「他に詳しい情報はない?」


「知らないわ! あたしも見てみたかったけど、海のカードを手に入れた直後だったから、立ち会うリスクは避けたの! ごめんなさいね!」


「いや、いいよ」


「あたしの知っている限りだと、一番注目しているのはネウロータね! 三層に行ったら、真っ先に相手をしてやるわ!」

「それまでの辛抱ですね」


「けどなーっ、もう! 待ってるのは性に合わないのよね!」

 興奮を抑えられないのか、マミちゃんが貧乏揺すりを始めた。


「堪えてくださいマミ様。今は民のことをお考えになさってください」


「分かってるわよ! 今もどんな魚を食べるか考えてる最中なんだから!」


「ですから、ご自身の食欲を満たすこと以外も」

「十分策はあるわ! 解体ショーよ! あたしの剣さばきで、マグロを分解するのよ!」


 分解って。


「刻まれるマグロに、お客さんの目は釘付けよ!」


 切り刻むのか、マグロを。中落ちとか確かにおいしいけどね。

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