譲渡は禁止!
「譲ってもらうわけには、いかないんだよね?」
ボクは、ダメ元で聞いてみた。
「もちろんダメよ! 別階層へ行けるカードの譲渡は、禁止されているわ! 発覚次第、落第確定だからね!」
意図的に負けてあげる、という方法も禁止だとか。
いつもやっている、「勝てば複製」はアリらしい。
「真剣勝負、しますか?」
ケイスさんが不敵な笑みを浮かべた。
「いえ、遠慮しておきます。マミちゃんとの真剣勝負は、ラストバトルまでとっておきたいです」
今ココで海をマミちゃんから取り上げると、マミちゃんが三層へ行けない。
ならば、他の魔王から手に入れるしかないだろう。
チサちゃんとマミちゃんには、二人揃って上の層へ行って欲しい。
「素晴らしいご判断です」
「さすがチサの玉座ね! ちゃんと考えているなんてエライわ!」
ケイスさんとマミちゃんからも、褒められた。
「ダイキ、ありがと。この話の流れだったら、マミから奪うしかなかった」
チサちゃんからも賞賛を受ける。
「とにかく、今までの相手とはひと味違うから、覚悟してね! といっても、ダイキは冗談抜きで強いから、気にしていないけど!」
「そうなの?」
自分では、そんな実感ないけど。
「当たり前でしょ? あのセイをやっつけたのよ! セイが全盛期にどれくらい強かったか、あなた知らないの?」
ボクは、首をかしげる。
以前、ボクはLOとなったセイさんを倒した。
セイさんは秘書になる前、最強の魔王候補だったらしい。
しかし悪政が祟って魔王候補から転落してしまった。LOと化したセイさんを最初に止めたのが、チサちゃんである。
大魔王の玉座『
ボクたちはセイさんを食い止めたのである。
でもそれは、ほぼ裏技に近い。
黒龍ルチャの力を解放したに過ぎず、ボクの実力で勝ったとは思えなかった。セイさんをやっつけたわけでもない。彼女の元玉座だったドレンの放ったブレスを受け止めた程度である。
「その時点で凄いのですが」
ケイスさんが、冷や汗をかく。
「わたくしだったら、秒で逃げます」
百戦錬磨のケイスさんまで、震え上がるくらいの攻撃だったのか。
「あなたが倒したセイは当時、大魔王ロイリ・ス・ギリルに最も近いと言われていたんだから!」
そこまで強い人に、ボクは勝ったのか。
「チ、チサちゃんが強いんだよ」
「それもあるわね! でも、自信持ちなさいよ! チサの魔力を増幅させて正気でいられること自体、奇跡に近いんだから!」
「ありがとう。そう言ってもらえると、うれしいよ」
ボクは、マミちゃんに礼をいう。
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