マミちゃんに相談だ

 だが、待てど暮らせど、海のカードを持っている魔王は現れなかった。とびっきりのお茶とお菓子を用意して待っていたんだけど。


 そうこういっている間に、一週間が過ぎてしまった。


「来ないね」


 時々、他の魔王が対戦しに来たりはする。けれど、魔王たちは海を持っていなかった。遠慮なく対戦するけど。


「シマウマと虎の魔王は強かったね」

「危うく、予選落ちするところだった」


 待ちの体制も、そろそろ限界なのかもしれない。おもてなし精神のつもりだったんだが。


「どうしよっか?」

「マミに相談する」


 困ったときは、マミ・ニムちゃんに聞いてみる。チサちゃんの親友であるマミちゃんは、脳筋なようでいて強かだ。魔王戦のルールも熟知している。


「そう仰ると思いまして、すでの連絡させていただきました」


 セイさんが、スマホを操作していた。仕事が早いよセイさん。

 

 それにしても、アンティーク調のスマホなんてあるんだね?


 玄関の外見が歪み、マミちゃんとケイスさんが姿を現す。


「お邪魔するわ!」


 相変わらず、マミ・ニムちゃんは声のトーンが大きい。赤いマントにゴーグルを巻き付けたヘルメット、タンクトップにショートパンツの出で立ちもそのままだ。


「ごぶさたしております」


 スフィンクスのケイスさんは四つん這いスタイルになって、マミちゃんの玉座になっていた。


「ダイキ様、二層進出、おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 ケイスさんから、ナシのホールケーキまでいただいた。


「相談したいって話だけど、何なの?」

「海のカードを持っている魔王が来ない」


「そりゃあそうよ! だいたい海のカードを持っているだけで、そいつは狩られる側よ!」

 あっさりと、マミちゃんが言う。いつもの大きな声で。


「自分から攻めに行くようなリスクは犯さないでしょうね! 待ち構えているに決まってわ!」

「え、でも、戦いが終わったら交換し合ってれば」

「何を言っているの? そんなことしてるの、あたしたちだけよ!」


 そっか。

 交換し合っているボクたちと違って、ガチ勢は奪い合ってるんだ。

 大事な海のカードを奪われまいと、待ちの姿勢になるのは自然か。


「あたしも海のカード持ちと戦ったことはあるけど、強いわよーっ! まあ、海のカードを持つくらいだから実力はあるし、相手も寄りつかないんだけど!」

 言いつつ、マミちゃんはワクワクが止まらない様子だ。


「領土とか広いのよ! 強くてたまらないの!」

「マミ様、この間も無謀にチャレンジして、危うく財産源である梨農園を取り上げられそうになりました。舐めプなんてしているから」

「あなたは口を挟まないでケイス! あたしは魔王の頂点なんてついでなの! 強い相手と戦うことが楽しいんだから!」

「あへぇ」

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