第五章 自由研究は生産職スキルで乗り切れ!
第61話 ドワーフの城
約束どおり、今日はオンコのお城にお邪魔することになった。
昼頃、ボクたちはお城に到着する。
「山の断崖を削って都市にするなんて、凄い発想だ」
「採掘と建築を同時管理できるようにしたのである。効率的な種族である」
ゼーゼマンの説明通り、街のすぐ側が採掘場で、ドワーフたちは入れ替わり立ち替わりで作業をしていた。
「柵がないけど、大丈夫かな?」
「自力で上がってこられるから、問題ないのである」
ドワーフは頑丈で腕っ節が強い。
そのため、崖から落ちたとしてもスタントマンよろしく無傷で戻ってこられる。
「ドレスコードなんて気にしなくていい」とオンコから言われていたので、普段通りの服で向かう。
一際高い塔が並ぶ城が見えてきた。
灰色の壁と赤煉瓦の屋根が目印だと聞いていたから、きっとあれだろう。
あの塔の形は、京都の五重塔に近い。色合いは洋風だが。
「あれ、行き止まりだ」
城の前まで来ると、城の周囲を湖が囲っていた。
跳ね橋があるが、動く気配がない。門前払いってヤツかな?
「丸太などがあればよかったであるが、これは困ったのである」
ゼーゼマンの知識を持ってしても、この難題は突破できそうにない。
進むのをためらっていると、ひとりでに跳ね橋が展開される。
「いらっしゃい、ようこそみんな」
橋の向こうで、オンコが待っていた。
ボクたちは、橋を渡りきる。
「厳戒態勢であるか?」
「違うよ、ゼーゼマン。モンスターに襲われたから、必要以上にオヤジが気を利かせてさ。警戒しすぎだって言ったのに」
友達が来るから橋は架けておけと、オンコは言っておいたらしい。
だが、王の指示を優先されてしまったそうだ。
「すまないな、オンコ。こんなカッコウで」
山道を進んできたので、ボクたちはホコリだらけになっている。
「いいっていいって。お洋服はこっちで用意するから」
風呂が沸いているというので、入らせてもらうことに。
洋服も、そっちに用意しているという。
「お世話になったから、お背中流すよー」
「何から何まで感謝する、オンコ」
「いいっていいって」
エィハスとオンコは、女湯に入っていく。
「では、また後ほど」
ゼーゼマンはひとり、男湯へ。
「あ、そうだ。チサちゃんとダイキはそっちねー」
暖簾の向こうから、オンコが顔だけ出して伝えてきた。
なぜか、ボクは第三の選択肢、中央の混浴風呂だ。
どうして、この選択肢があるのか、オンコに聞きたかった。
けど、彼女はエィハスと暖簾の向こうへ消えている。
「迷っていても仕方ない。早く行く」
チサちゃんに手を引かれ、混浴場へ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます