第52話 スケルトン襲来

「大丈夫。わたしがついてる」


 チサちゃんが、杖を二度、スピンコックした。

 スケルトンを二体同時に始末する。


 ボクには、チサちゃんが一度に火球を二発撃ち込んだように見えた。


「この程度では、私たちは止められん!」

 ブロードソードを振り回し、エィハスが残りのスケルトンを破壊する。


 ボクもスコップをスイングして、ガイコツを蹴散らす。


 ガイコツは簡単に砕けた。


「意外と強いぞ、このスコップ」

 もっと苦戦すると思っていたけど。


「偃月刀が、強いんじゃない。ダイキが強くなっている」


 なんでだろう。どう動き、何をすればいいかが分かる。

 敵のスキや陣形の乱れなどが、瞬時に読み取れた。

 戦闘経験なんて皆無なのに。


「チサちゃん、身体が勝手に動いてくれるんだけど?」

「スキル【黒龍拳】の効果と、ドレンのくれた装備の恩恵。そうやってダイキに戦い方を教えてくれている」


 そうなのか。ドレンに感謝しないと。


 オンコはと言うと、壊れたスケルトンからカラフルな宝石を拾っていた。奇妙な模様の描かれた小さなビンへポイポイ入れていく。


「それは?」

「死霊を動かすタイプの魔石だよ。これを拾うか壊さないと、アンデッドは無限に湧いてくるんだ」


 アンデット対策のために、オンコは魔石をビンにインしていった。


「ダイキ後ろ!」と、オンコの声が。

「え? うわ、なんだ!?」


 後ろから、火球で撃たれた。

 だが、魔獣の革が守ってくれたおかげで、焦げ一つない。


「ほほう、素晴らしい防御力である」

 ゼーゼマンが、ボクの装備に感心を示す。



 ボクの背後に、魔法使いタイプのスケルトンが三匹いた。

 火球は、ヤツらの仕業だろう。


「道を空けてくれ、遠方の魔法使いを叩く!」

「OK」


 エィハスの指示に従い、ボクは偃月刀をぶん回して、強引に道を作っていく。


 おびただしい数のガイコツをボクが叩き潰し、後方の魔法使いガイコツにエィハスが取り憑いた。


 三体のスケルトンが、エィハスの剣によって真っ二つに。


「数が多いな。キリがない」

 疲労の色こそ見えないが、エィハスはウンザリしている模様だ。


「エィハス、洞窟の向こうに敵反応。近いよ!」


 魔力石が光の筋を描き、最奥部を示している。

 アンデッドを操るため、魔力石にはこのような仕掛けがあるという。


 だが、スケルトンが道を塞ぐ。


「任せて」

 チサちゃんが、モンスターの群れに向かって杖の先を突き出す。


 火球をタコヒモで結び、炎の竜巻を作り上げた。


 炎でできた竜巻に飲まれ、スケルトンたちが灰になっていく。


「行こう」

 敵のいなくなった道を、チサちゃんが突き進む。 

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