第35話 おコメをゲット

 どのカードにどんな効果があって、有力なのか。

 よく分からない。


 ただ一つを除いて。


「お米、かな?」

 ボクは、マミちゃんのカードから、お米を選択した。

「砂漠でお米なんて取れるの?」


「マミが住む砂漠の主食は、クスクスだった。他の魔王とバトルして、マミは陣地の環境を変えて米を作った」



 砂漠から生まれたという、世界最小のパスタか。



「でも、本当にいいのかな? お米をもらってしまって」

「土地で一度作れたら、その地に文化は定着する。何も気に病むことはない」


 ボクは、マミちゃんの土地から米を奪ったのでは、と考えていた。けど、違うみたい。


「遠慮しないでいいのよ」

「じゃあ、お米をください」



「決まりね!」


 マミちゃんのカードを、ボクは受け取る。


 しかし、マミちゃんはケイスさんには聞かない。


「まって、ケイスさんは?」


 何もしていないボクだけもらって、功労者のケイスさんが何も取得できないなんて不平等だ。


「結構です。マミ様が欲するものが、私の欲するものなので」 



 カードを交換し、砂遊びは平和的に解決した。

「さて、身体がボロボロになっちゃったわね。お風呂を貸してちょうだい」


「分かった。お願いセイ」

 チサちゃんは、セイさんにお湯を沸かすように頼む。


「心得ておりました。もう湧いております」

「やった! ダイキも入る」

 ボクは手を引かれ、お風呂へ。


「ケイスも入るのよ!」

「ありがたき幸せ」


 ケイスさんも、ボクと同じようにマミちゃんを載せたまま移動する。




「どうしてこうなったのでしょう?」




 なんと、マミちゃんまでウチの風呂に入りたい言い出したのだ。



 チサちゃんは現在、マミちゃんと洗いっこをしている。

 両者とも泡だらけになって、ワイワイとふざけ合っていた。

 さっきまでの殴り合いがウソのようだ。


 混浴ながら、ボクは同性であるケイスさんと湯船に浸かっている。


「まあ、いいではありませんか。マミ様もお喜びです」


 ケイスさんが、はしゃぐ二人の魔王をにこやかに眺めていた。何の邪気も感じない。


 マミちゃんの日焼けは、スク水のラインをなぞっていた。

 この世界って、スク水があるんだな。


「危ないから走らないでね」


 二人は元気よく「はーい」と返事をした。


「いいコンビですな。お二人は」

 唐突に、ケイスさんが語りだす。


「ボクはこの世界に来たばかりですので、ほとんどの決断は、チサちゃんに任せきりなんですよね」


「そうなんですか。だとしたら、本当に通じ合っているのかも知れません」


「ケイスさんの方は、どうなんですか?」

 

「マミ様はゲームならお強いのですが、内政自体はあまり得意ではない。よって、玉座である私が助言をしています。出過ぎたマネですが」

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