第34話 鉱山ゲット

 目を覚ますと、リビングに戻っていた。身体はなんともない。


「あー、やっぱチサは強いなー。輪を掛けて強くなってる」

 ケイスさんに身体を預けながら、マミちゃんが悔しがった。


 どちらかというと、マミちゃんの粘りが足りないから自滅した、という印象だ。

 しかし、言っても聞かないだろうから黙っておく。


 終わったかと思えば、兵隊たちは何事もなかったかのように立ち上がる。

 致命傷だったはずの傷も回復していた。

 お互いに礼をして、コマに戻る。


 設置されていたジオラマも姿を消した。


「約束通りの鉱山ね!」

 マミちゃんが、一枚のカードを渡す。


 ボクたちは、お米のカードも手に入れた。


「あのカードをもらうと、自分の陣地が広がります。明日には、畑の向こうに鉱山が見えるでしょう」


「宇宙の法則が乱れそうですね」


「普通はそうですが、異世界ですから」

 そういってしまえば、何でもありに見えてしまうが。


「でも、あげちゃっていいいんですか? 陣地ですよね?」


 仮にチサちゃんが潤っても、マミちゃんの陣地が縮小されるなら、それはそれでヤバいのでは。


「ご安心を。基本的に持て余している土地をもらうだけですので」


 リスクを伴う交渉をしているワケではないらしい。

 お互い、遊びの延長で陣地の分け合いをしているそうだ。

 あくまでも実戦、じゃれ合いがメインだという。


「設置したては魔物がいるから、気をつけてね」

「知ってる」


「アンタに言ってるんじゃないわ。そこの玉座に言ってるのよ」

 マミちゃんがボクを指す。


「え、ボク?」


「ダイキ。こういうフィールドは、実装されると魔物まで配置されてしまうの。完全に陣地を手に入れようとしたら、ボスを倒す必要があるわ。設置が確認できたら、魔王と一緒にボスを退治に行くのよ! 分かった?」


「はい。分かりました」


 今度は、チサちゃんがボクの方に振り返る。

「ダイキ、また退治に行こう」


「うん。一緒に行こう」


 今度はデートというわけにはいかないだろう。

 チサちゃんだけ、怖い思いをさせるわけにはいかない。


 ボクがチサちゃんを守るんだ。


「じゃあ、これ」

 勝ったのに、チサちゃんはオレンジの木が書かれたカードを、マミちゃんに差し出す。


「え、くれるの?」


「苗一本だけ。増やすのはそっちでやって」

 最初からあげるつもりだったのだろう。

 チサちゃんは優しい子だなぁ。


「ありがとう! じゃあ、こっちもおまけしてあげるわ! そっちは何がいい?」


「ダイキは、欲しいものはある?」

「どれでもいいわよ!」

 マミちゃんが、ボクにカードを見せてくれた。

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