第41話 ゴマトマ鉱山の調査依頼
「魔物出る?」
どうして、チサちゃんがワクワクしているのだろう?
「危険レベルC。我々が入るには問題ございませんが、人間が入るには骨が折れるかと」
「分かった。探索に行く」
チサちゃんは、うれしそうだ。
「大丈夫、危なくない?」
「それを確かめに行くのが、魔王の仕事。ひょっとすると危ないかも知れない」
ホントに大丈夫かな?
チサちゃんが強いのは、分かっているんだけど。
「モンスターって強いんだよね? ホントに、大丈夫かな?」
「わたしがついているから安心」
「ボクのことは、いいんだよ。そうじゃなくて、チサちゃんがケガをしたら大変だなって」
「ダイキは優しい。でも、心配しないで」
チサちゃんによると、モンスターがダンジョンに現れるケースは、珍しくないらしい。
「一緒に行ってくださいませんか、大毅様。チサ様は久々のダンジョン探索がしたくうてウズウズしているのです」
魔王は、定期的に「おさんぽ」に出かけて探索する必要があるという。
体力作りという側面もある。
なにより、土地の事情を把握しなければならないからだ。
その辺のモンスターに負けるようでは、魔王は務まらない。
降りかかる火の粉は、自らの手で払うべきなのだ。
「最初にワタクシと向かった森のダンジョンは、ショボくて残念でして」
「ダイキが来てくれたおかげで、魔力のリソースが効率化できている。これでやっと本格的な探索ができる」
そうか、内政に魔力を注いでいたから、外の探索が難しかったんだな。
「ボクで役に立つなら、いつでも壁になるからね」
「頼りにしてる」
チサちゃんは、ネネコさんに「引き受ける」と告げた。
「準備に少し掛かるから、探索は数日後に。日時は追って連絡する」
「ありがとうございます! 国王には私から報告をしておきますね!」
ボクたちが依頼を承諾すると、ネネコさんは安心して帰って行く。
「調査に行くなら、本格的な装備が必要」
チサちゃんの提案で、ボクも装備品を身につけることにした。
「では、宝物庫へ参りましょう。きっと役に立つアイテムがあるはずです」
セイさんの案内で地下の宝物庫へと進む。
ようやく、あのドラゴンと対面するのか。
「あの、ドラゴンってどんなモンスターなんでしょう?」
「この地帯を荒らし回っていた、恐ろしい存在です。今ではすっかり丸くなっていますが、昔は大層ヒドい性格でしたよ」
まるで当時を知っているかのように、セイさんは饒舌になる。
「知り合いなんですか?」
「同郷なのです」
よりくわしく聞くと、セイさんとドラゴンは、幼なじみなのだとか。
「もうずっと、昔の話です」
なぜか、セイさんが少し悲しい顔をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます