第29話 カード争奪戦
「砂場ができた!」
床にできあがった空間は、どう見ても砂漠だった。
砂場なんてレベルではない。
魔族の遊びって、スケールが大きいな。
「あの、何ですこれ?」
「我が領土とそちらの領土を縮小して表現した、ミニマップです」
チサちゃんとマミちゃんは、各々の陣地にコマを配置していく。
指示を出せば、相手のコマや陣地に攻撃を仕掛けるという遊びだそうだ。
「相手方の陣地は、砂の割合が多いですね」
「チサ様の降り立った土地は荒野でしたが、マミ様の拠点は砂漠でした。それはもう大変だったそうです」
マミちゃんは、マントとゴーグルを身につけている。
砂漠で活動するために必要な装備なんだとか。
マップを見てみると、確かにマミちゃん側の拠点は、オアシスとピラミッドだ。
その周りを、スフィンクスと半裸の兵隊が囲む。
チサちゃんの陣地を、白い鎧を着た兵隊と、ドラゴンが守る。
小さな魔王の城には、ボクそっくりのコマまであった。
ちゃんと、小さいコマと化したチサちゃんがいる。
「この、ドラゴンは?」
赤いドラゴンが、城の門を守っていた。
他のコマより数倍大きい。それだけで城一つ分ある
「ドラゴンなんて、どこに?」
「宝物庫にちゃんといる。今度会わせる」
このお城って、宝物庫があるんだな。
「不況の時は、宝物庫の財産を処分して、村や街の資金に充てる」
そういえば、ボクのコマも形が変である。
顔はボクなんだが、腕が異様にムキムキだ。
モンスターの爪まで伸びている。
「じきに分かるでしょう。このコマ配置も、すべて意味があるのです」
今は、聞き流していいらしい。
「ルールは?」
「中央の山で戦闘を行い、どちらかの拠点を取られたら負けです」
ケイスさんが、慣れた口調で解説してくれた。
「あとは、見て覚えてください」
確かに、ここから先は見た方が早いかも。
チサちゃんとマミちゃんは、数枚のカードを持っている。
「あれはなんですか?」
「賞品です。このお砂遊びで勝った方が、好きな賞品の書かれたカードを持ち帰れます」
勝つと、その土地で生産してる物資を、分けてもらえるという。
カードゲームで欲しいカードを交換するようなものだ。
「今度こそ、オレンジ畑をもらうわ! あなたのところのオレンジ美味しいから!」
いいながら、マミちゃんはオレンジジュースを一気飲みする。
三分の二まで飲み、残りをケイスさんに飲ませた。
ケイスさんが礼をいう。
「じゃあ、わたしは鉱山をもらう。鉄は今後のために欲しい」
「決まりね!」
いよいよ、ゲームがスタートした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます