第14話・わたし改造されちゃいましたデュフフ

 興行レスリング研究会さんたちとのレトロゲーム勝負の当日。

 気がついたら白衣の人たちにメイド服を着せられてました。

「ここはどこですか……わたしを自由にしてください!」

遊佐繭美ゆさまゆみ……ようこそ我が家庭科部に来てくれました」

 わたしの耳にした家庭科部は、校内のあらゆるところに網が張られる悪のクラブ活動なのです。

 わたしはなぜか、判田はんた市の人里離れた廃ゲーセン(自宅)に運び込まれました。

 家庭科部の狙いは、学校中の人間をメイド改造し、その意のままにご奉仕させて世界制服を計画する恐るべき団体なのです。

「君はいまやミニスカメイドになったのだ……ところで繭美ちゃん、脳改造と5万ボルトと服従のどれがお好みかしら?」

 家庭科部長さんは怪しげな音声のれるヘッドホンとスタンガンを見せてくれました。

「そのスタンガン、オモチャですよね?」

「本物なら5万ボルトは底辺なんだけど、18才未満は買えないのよね」

 護身用スタンガンの電圧は最低5万ボルトでも、電流は数ミリアンペアなので、もちろん並の人間が喰らっても黒コゲのタヒ体にはなりません。

「ここで脱走したら仮面のメイドなんちゃらになれますかね?」

「なれません。あと洗脳を受けるとメイドの苦痛からのがれられます」

 ヘッドホンから某有名声優さんのメイドソングが聞こえました。

「あっ……これひょっとして勇者チームの制服ですか?」

「ザッツライト! 男女問わず着せました!」

「おにぃもですか⁉」

 思わず白衣の家庭科部員さんたちを押しのけてガバッと起き上がります。

 家庭科部さんたちは迂闊うかつにもわたしにメイド力エネルギーを注入してしまったようですね。

「遊佐くんには逃げられました」

「なんでラグビー部さんたちに協力してもらわなかったんですか!」

 お兄は眼鏡でゲーム音痴のくせに運動神経がお達者なのです。

「でも姫宮くんの改造手術には成功しています」

「それならいいです。でもメイドお兄とカプれなかったのは残念ですね」

「あっちはもう済んでますよ。見ます?」

「見る見る絶対見る!」

 白衣の家庭科部員さんがお茶の間の扉を開けると、店内は騒然、写真部のフラッシュがバシャバシャかれ放題でした。

 騒ぎの中心には、メイド服を着せられて恥ずかしそうにうつむく坊ちゃんり美少年の姿が。

 小路こみちちゃんは写真部に混ざってスマホで撮影中、海さんはメイド手術のついでにメイド脳改造まで受けたのか、ただ茫然ぼうぜんとしています。

「あとでデータください永久保存します!」

 わたしの声が聞こえたのか、小路ちゃんがサムズアップしました。

 よっしゃ紫焔しえんくんの女装画像確保!

「おおっ、ロリ巨乳だ! メガネのミニスカメイドロリ巨乳様がご降臨なされたぞ!」

 なんか写真部のレンズがこちらに集中しました。

「ええ~~~~⁉」

 バシャバシャバシャバシャ。

「わたしってそんな人気ありましたっけ? ラブレターとかもらった試しないんですけど」

 勇者云々うんぬんだからでしょうか?

「ああそれ? 会長が早朝に下足箱と机をチェックして全部廃棄してるの見た事あるよ」

 写真部に混ざってスマホをこちらに向けている変態女子がいました。

 しかもローアングルで。

「出たな理央りお! それと真緒姉はあとでしばく!」

 近親者の下足箱をチェックして手紙やチョコを消去デリートするって、わたしだけじゃなかったんですね。

「はい杖」

 気がきますね家庭科部長さん。

「一欠‼」

 ポコポコポコポコ。

 杖は軽いので大したダメージになりません。

「ふははははははは‼ この程度の攻撃で私の撮影が止められるものか!」

 パシャパシャ。

「家庭科部さん、この子も人類勢です。やっちゃってください」

「イ――――――――ッ‼」

「わひゃ~~~~っ⁉」

 わっしょいわっしょい。

 理央さんは白衣の家庭科部員さんにかつがれて、お茶の間の手術台に連行されました。

「ついでに5万ボルトもお願いします。スマホに」

「それだけはダメじゃ! これにはいままでめ込んだ繭美コレクションが~~~~っ!」

 やっぱり隠しりしてたんですね消しちゃいましょう。

「クラウドの画像も消去お願いします!」

 ついでに脳内ファイルも脳改造でどうにかできるといいんですけど。

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