第8話・お姫様な美少年にフラれちゃいましたデュフフ
「なんか最低なラストでしたね」
「ちなみに前世記憶の発現は早期で10歳前後からだ。内容は断片的なエピソード記憶のみで、異世界の言語はもちろん、魔法や法術も一切使えん」
異世界スキルが使えたら、運動会とか学校行事がカオス化しちゃいますからね。
「え~と、映像覚えてるのがわたしだけで、みなさん
「うむ。ページがバラバラで
「それってなんの役にも立たないのでは?」
「立たんが共通の話題にはなる」
「シェアワールド的なものですか……」
でもそれで転生者の結束みないなものが生まれて、その人脈がいまの生徒会や部活連に
そこでお
『みなすでに気づいていると思うが、勇者は俺の妹、
さっきまで疑っていたのに断言しちゃうんですかお兄。
「こいつが……?」「ちっこいな」「でも局所的に大きいぞ」「プニュプニュしてる~♡」
気にしてるんだからプニュプニュ言わないでください。
あとチビゆーな。
『そしてここにいるのは前世で姫君だった者と、おつきのメイドだ』
「メイド……本職か」「本物のメイドさん……」「文化祭が楽しみだ」「お姫様も可愛い♡」
幹部連のみなさんはガヤガヤ言ってますが、注目するとこはそこですか。
『姫……いや彼は病没寸前に大司教に
「おおっ
「そ、そんな……」
お姫様はキュートなお顔を真っ赤にして恥ずかしがりました。
でもその視線は
『そして実行犯はそいつだ。姫君の護衛騎士、中等部1年B組女子剣道部所属、内藤海! お前のしでかした事が、いかに無意味か理解したか⁉』
スポットライトの代わりに懐中電灯で、グルグル巻きの海さんが
「……はい」
うなだれる海さん。
「海ちゃん……」
お姫様が心配そうに冷や汗をかきながらモジモジします。
「うちの部員がすみません。ほら内藤さんも」
「ごめんなさい」
女子剣道部長さんに
『異世界を分断する障壁は戻り戦争も終結、そしてなにより魔王がそこにいる』
つまりマグマステージから出られず天に召されちゃった訳で。
『たとえ繭美を殺害し異世界転生に成功したとして、その勇者が来世でどんな道を
「……………………」
『そもそも俺たち転生者の記憶が、本当に前世のモノかもわからんのだ。ただの共同幻想の可能性もある』
そしてお兄は一息吸って。
『内藤海、お前は繭美を殺したあと、どうする気だった?』
もう一つの重要な問題に
「……姫様と共に自害するつもりでした」
やっぱり。
あと
『タ…………来世で姫君と勇者を結婚させるためにか?』
お兄は『タヒぬなら一人でタヒね』と言いたかったようですが、どうにか飲み込んだ模様。
さすがにそれは言っちゃいけないワードです。
『ごらんの通り、いま勇者は女子で、姫君は男子になってるぞ。そして勇者のあとを追った魔王は繭美より一年早く転生している。同じ時代の同じ場所に、そして異性に生まれる幸運が、そう何度も起こるとは限らん』
「ううっ……ふええ」
ああもう海さん泣きそうになってるじゃありませんか。
お兄それ以上はオーバーキルですマナー違反ですよ。
「
「合点承知! すぐ片づけるよ!」
真緒姉もマイクを取りました小指立ってます。
『本件は生徒会長及び前世魔王の名において、一時預かりとする!』
前世の名前覚えてないのに名においちゃいますか真緒姉。
『いずれ正式に
「は、はいっ! 中等部一年B組の
『内藤のクラスメイトか……では姫宮に内藤の監視を命ずる。校内では一時も目を離すな。
「……及ばずながら
『これにて一件落着!』
どこから出したのか【魔王】と書かれた
「いや~さすがは会長、さすがの魔王
「いいモノ見れました」
「学校裏サイトを更新せねば……」
みなさんスカッとしたお顔で機材やパイプ
「海ちゃん!」
お姫様改め紫焔くんが会議机から飛び出して、グルグル海さんに
「うわコラ姫様痛いって!」
「結び目が見当たらないよ……誰かハサミ持ってない?」
「ちくわしか持ってねえ」
なんでそんなもん持ってんですか柔道部長さん。
「見つけた! すぐ
「おいやめろどこ触ってんだ!」
「ああっごめんなさい! でも変なところに結び目が……」
まだ中1なのに結構育ってますね海さん。
「……私がやりますよ」
小路ちゃんが交代して麻縄を解きます。
それをソワソワしながら見ている紫焔くんは……。
「ああこれ
海さんは厨二で真緒姉なみの暴力バカなだけでなく、お兄なみの
「あれ? そういえば勇者との勝負がどうとかって……?」
「「「あっ」」」
しまった言わなきゃよかった。
魔王軍幹部連のみなさんは椅子の移動をやめて、わたしに視線を集めます。
「真緒姉!」
魔王生徒会長さんは『任せろ』とばかりにサムズアップしました。
『みなの者! 私にいい考えがある!』
すっごく不安になる台詞キター‼
『だが根回しと準備に時間がかかりそうだ。せっかく集まってくれたのになんだが、勝負の話は生徒会案件として後日企画しよう』
そして真緒姉は【祭典】と書かれた扇子を広げました。
『だが決して退屈はさせん! みな楽しみに待っておれ!』
「「「「おおおお~~~~~~~~っ‼」」」」
会議室は大盛況です。
「企画⁉ あとなんでみなさん楽しそうなんですか⁉」
「真緒があのセリフを出すと、必ず面白い事になるからだ」
とお兄。
「そして必ず俺が苦労する」
なんかいろいろ大変なんですねお兄。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます